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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

私たちのキャリア論(BtoC編)

「何のためにマーケティングの仕事をやるのか」という軸をぶらさない

消費者の声を聞き、知識の解像度を高めていく

 35歳頃まで広告制作会社でクリエイティブの仕事をしていたので、ヤッホーブルーイング入社当時はマーケティングの正確な知識・スキルはほとんどありませんでした。またマーケティングという概念や仕事についても、今考えるとかなり部分的にしか理解できていなかったように思います。

 幸いにしてヤッホーブルーイングにはグループ会社の星野リゾートゆずりの「教科書通り経営」(=経営学の定石をしっかり学び、まずはその通りにやりきること)が根付いており、『星野リゾートの教科書』(日経BP)という書籍も出版されているので、その本に載っているマーケティング分野の書籍を読み漁り、まずは知識のキャッチアップに努めました。

 同時に、顧客インサイトの理解が重要と考えたので、消費者(顧客)の生の声を数多く聞くようにしました。そして、その結果を整理し、マーケティングの教科書や、これまでの自社のマーケティング方針と照らし合わせながら納得度と解像度を高めていきました。ただし、それだけでは知識のキャッチアップに不足を感じたので、ビジネススクールで本格的にマーケティングを学ぶことにしました。

キャリアを形成する「軸」をぶらさない

 キャリアを考えるうえでは、何のためにマーケティングの仕事をやるのか、という軸をぶらさないことが重要であると考えています。自分の場合は、他者である消費者(顧客)の心のうちを理解したい、そして自分が良いと思うことで共感してもらえるのがうれしいというプリミティブな感情があります。そのため、まずこれを大事にしたいと考えています。

 同時に、世の中をよくするための小さな貢献をしたいという思いもあります。この二つをベースに考えると、消費者理解を極めるということ、そして人々を幸せにするための価値(かつ自分が好きなもの)を作り続けるというのが、マーケターとしてのキャリアの方向性となっています。マーケティングの理論に通じること、考え方をブラッシュアップすること、チームで成果を出すためのメソッドを身に着けることも、そのための手段であると考えています。

ヤッホーブルーイング よなよな未来課 稲垣 聡氏

ヤッホーブルーイング よなよな未来課 稲垣 聡氏

広告制作会社等を経て、2011年入社。よなよなエールのブランドマーケティングや、新製品ブランドの開発、公式ビアレストラン「よなよなビアワークス」の立ち上げ等を担当。中央大学大学院戦略経営研究科修了。

自分のキャリアは自分で決める。キャリア形成は内的モチベーションを大切に

常にP&Lを念頭に

 ユニリーバでは、マーケティングに携わった一年目からブランドやプロジェクトのP&Lを考慮しながら働くことが求められるため、施策を行う際には常に「これは売上に繋がるのか」「適切なROIが得られるのか」ということを念頭に置いて取り組んでいました。スキルは、特別トレーニングに参加したり、本を読んだりというよりも、とにかく社内資料を読み漁り、過去の製品戦略を見返しては、それらを自分の戦略作りに生かすことを行っていました。最終的には使用することのない資料であっても、自分の思考整理のために何枚も何枚もワードやパワーポイントを作り続けては、書き直していました。

自分のキャリアは自分で決める

 まず、「自分のキャリアは自分で決める」ということが、私のキャリア形成の軸です。会社や上司による判断の結果のキャリアではなく、自分が叶えたいキャリアパスを会社や上司に叶えてもらう、というように考えるようにしています。「目の前の仕事を一生懸命やることによって結果を残して新しいチャンスを得ていく」や「がむしゃらに働いた結果その仕事が好きになっていく」といった考え方もとても素敵ですが、給料やポジションなどの外的モチベーションに依存することが多いので、本来の仕事をする目的を追うことにより、仕事が楽しくて、自己実現を感じることのできる内的モチベーションを大切にしています。

 次に、肝心の自分のキャリアをどう決めるかについては、就職、転職、異動など、判断が必要な時に考える要素を、①自分が最終的にやりたいことに近づくかどうか、②より自分に裁量があり、判断ができる仕事になるか、③今の時代の文脈に沿っている仕事かどうか、の3つの軸で考えて判断しています。ちなみに、私は大学卒業時に入りたかった会社が残念ながら、新卒採用をしていなかったので、その会社に先々入社をするために、上記の3つの軸をもとに、ユニリーバに入社を決めました。ユニリーバは、その理由も考慮に入れた上で、私を受け入れてくれ、これまで育ててくれた、懐の厚い会社です。今では、元々入りたかった会社への入社の選択は取らず、さらにその先にあるゴールに向かって、日々楽しく仕事をしています。

ヤユニリーバ・ジャパンホーム&パーソナルケア シニアブランドマネージャー スキンクレンジングリード&ダヴマスターブランド ラフラ・ジャパン COO 木村 元氏

ユニリーバ・ジャパン ホーム&パーソナルケア シニアブランドマネージャー スキンクレンジングリード&ダヴマスターブランド ラフラ・ジャパン COO 木村 元氏

営業内勤・外勤担当を合わせて約2年半、その後9年間、ブランドマーケティングを経験。ロンドン本社にて、グローバルマーケティングダヴヘアシニアブランドマネージャーを担当後、2020年1月より現職として、スキンクレンジングカテゴリー並びにダヴブランドを統括。2021年4月よりラフラ・ジャパンCOOに就任予定。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/03/25 14:30 https://markezine.jp/article/detail/35775

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