「エンジニアを市場に直結」することでスピーディーな体制が叶う
佐渡島:世の中がデータ化されていくことで、色々な判断がAIを使うことで賢くなり、かつそれがクラウドカメラという形でフィードバックし、色々なアプリケーションを生み出せるプラットフォームをつくれるとは思っていました。でもそれがこんな色々な業種で、様々な使い方をされることは想像できていませんでしたよ。
セーフィーのほとんどの事業がお客様の声から作られたと言っても過言じゃない。僕がよくいっているのは、「エンジニアを市場に直結せよ」なんですね。営業が売ってきて、声を聞いて仕様化しハードウェアの設計を考えるのには数年かかりますが、エンジニアを市場と直結すると、お客さんの声がリアルタイムで獲得できますから。
象徴的な出来事もありました。先ほどお話ししたコロナの医療現場のところで、リアルタイムに色々な病室の映像が映し出されていたのですが、危険な患者には付箋を貼っていて。でもその付箋が落ちちゃったりする。それを見たエンジニアが、「これは生命に直結する大変な事態だ」と、即日に付箋を映像に貼れる機能をアップデートしていたんです。僕の承認を得ることもなく(笑)。
江端:そのスピーディーな体制は、御社ならではでしょうね。
佐渡島:先日、「お客の肘を見ただけで、なぜ塚田農場の売上は伸びたのか」という記事を読みました。これはSafieから得た映像を科学的な視点で分析したところ、肘が90度以上傾いたときに注文を聞くと売上が伸びたという内容だったのですが、そうした気づきは我々からは得られません。そうした独自のナレッジは、独自に定量調査したことで、気付きにつながっていったわけです。
なので我々としては、まず皆さんに製品を使ってもらい、色々な分野のプロがプロなりの使い方をしていく上で出てきた明確な課題に対し必要なAIを一緒に作り、それをさらにアプリケーションとしてスケールさせることを狙っていきたい。そのやり方がコストベネフィットのあるAIを次々に生み出せる方法だと思っています。
今後はAIやビッグデータを活用し、人の意思決定に貢献するサービスへと成長していくために、「映像から未来をつくる」をビジョンに掲げ、防犯・監視カメラを超えた映像プラットフォームへの進化を目指し、様々なサービスやプロダクトとの連携を進めていきたいと考えています。