企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中、BtoB企業はどう生き残っていくべきなのか。2021年3月2~4日に行われた「MarkeZine Day Spring 2021」に、パナソニックでB2BソリューションのCMOを務める山口氏と、『BtoBマーケティング偏差値UP』(日経BP)の著者であるシンフォニーマーケティングの庭山氏が登壇。両名とも「BtoB企業の成長には、BtoBマーケティングを先導するジェネラリスト人材の育成が急務だ」と語る。本記事では、国内BtoB企業が成長する要となる、マーケティング人材をどう育成していくのかについて議論した模様をレポートする。
大きな課題はマーケティングの定義があいまいなこと
道上(MarkeZine編集部 副編集長):まず、お二人が考える国内BtoB企業が抱える課題について教えていただけますか。
エンタープライズマーケティング本部 本部長 山口 有希子氏
右:シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役 庭山 一郎氏
山口:マーケティングの定義が会社の中で定まっていないことが一番の課題だと思います。企業・部署・人によって、マーケティングの理解度・定義はバラバラです。外資系企業に勤めていた際、マーケティングの型が企業の中に存在していました。ただ、日本のBtoB企業の多くでは、その型が存在しないのではないでしょうか。
私が現在勤めるパナソニック コネクティッドソリューションズ社(CNS社)でも同様です。部署によってもマーケティングの定義は様々でした。そこで、まず私はマーケティングがどのような役割を果たすのかを定義し、社内に共有しました。当然、マーケティング組織が果たすべき機能は、会社の規模やフェーズによって変化していきます。企業の変化も感じ取って常に役割を再定義しなければいけないと感じています。
BtoBマーケターは孤立している
道上:庭山さんはいかがでしょうか。
庭山:日本のBtoB企業で最近深刻化していると感じるのが、マーケティング部門の孤立です。これは、『BtoBマーケティング偏差値UP』を書いたきっかけでもあります。
マーケティングを推進しようとすればするほど、営業やPR、広報、情報システムから睨まれ、経営者からは「いつになったら経営に貢献するんだ」と詰められてしまう。
実際、講演を行うたびにほぼ毎回マーケターの方から「他部門とうまく関係が構築できない」と相談を受けます。
しかし、それはマーケティング部門だけの問題ではなく、経営側の問題なんです。マーケティング部門の設置を決めるのは経営層ですが、予算を渡すだけでは機能しません。
営業に「名刺情報をください」と言っても「俺の顧客に勝手にメールを出すな」と言われ、事例記事を出そうにも広報からストップがかかり、ツールを導入しようにも情報システム部からつつかれる。この状態をマーケティング部門だけで打破するのは難しいので、経営層の積極的な関与が必要なのです。
パナソニックCNS社のBtoBマーケ推進もトップ層の意識あってこそ
道上:お二人の話から、自社にとってのマーケティングを定義し、経営層の協力も得ながら社内でのマーケティングの理解を深めていくことが重要だとわかりました。
山口:私たちの場合は、立ち上げ当初にマーケティング部門のミッションを明確にして、ボードメンバーに共有しました。これを継続的かつ広い範囲に行っていけるかがとても重要だと思います。
庭山:パナソニックの場合は、樋口さん(パナソニック 代表取締役専務、CNS社 社長 樋口泰行氏)が素晴らしいですよね。山口さんをはじめ、マーケティングに長けたボードメンバーを社外から招き入れている。それは「マーケティングを本気で取り組む」ことを社内に強烈に伝えるメッセージになります。他のBtoB企業も参考にしていただきたい部分です。
道上:山口さんのような優秀な方を採用できれば理想的だと思いますが、採用が難しい場合はどうするべきなのでしょうか。
庭山:ミドル層で、ロジカルに考えながら営業している方を社内異動させるのがおすすめですね。営業成績が悪い人でもダメですし、反対に営業成績がトップクラスの方でもダメなんです。
道上:営業成績が悪い人がダメなのはわかるのですが、なぜ営業成績がトップクラスの人もダメなのでしょうか。
庭山:トップクラスの営業担当者の場合、センスや勘などで売れてしまっているケースも多いためです。そのため、営業をそのまま担当していただいたほうがいいと考えています。
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水落 絵理香(ミズオチ エリカ)
フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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