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有識者に学ぶ、マーケティングと行動経済学のこれから

キーワードは維持可能性と幸福感 行動経済学と共同体メカニズムに学ぶ、これからのマーケティング


 昨今マーケターの間でも注目の集まる行動経済学。本連載では、学界や業界のキーパーソンとHR Design Lab. 代表の楠本和矢氏が、行動経済学とマーケティングのつながりについて対談します。第2回となる今回は、慶応義塾大学の経済学部で教授を務める大垣昌夫氏に話を聞きました。

共同体メカニズムとは

楠本:今回は慶應義塾大学の経済学部の教授で、共同体メカニズムをテーマに研究されている大垣さんにお話をうかがいます。まず、共同体メカニズムとは何かについてご説明いただけますか。

慶応義塾大学 経済学部 教授の大垣昌夫氏
慶応義塾大学 経済学部 教授の大垣昌夫氏

大垣:共同体メカニズムは経済システムを支えるメカニズムの1つで、家族や地域での協力を基礎としたメカニズムです。経済システムは、共同体メカニズムに加えて需要と供給を基礎とした市場メカニズム、税金を基礎とした公共メカニズムという3つのメカニズムの上に成り立っています。

楠本:なるほど。早速、何かこれからのマーケティングに必要なヒントが出てくる予感がしています。ちなみに、なぜ大垣さんは共同体メカニズムを研究しているのでしょうか。

大垣:日本では高度成長期に市場メカニズムと公共メカニズムを重視して国と国民が動いてきた結果、大きな成長を遂げました。しかし、近年は少子高齢化が進み、これまで通りの経済システムでは成り立たなくなってきています。税金は集まらず、医療費は増大しているにもかかわらず、これまで通り高齢者に対し年金は払い続ける。この持続可能性のない仕組みを続けていると、いずれ財政的な危機が訪れます。

 市場メカニズムと公共メカニズムが機能しにくくなる中で、重要になると考えているのが共同体メカニズムです。家族や地域などの単位で共助・互助していくことで、より良い生活を送っていける可能性があるからです。

企業と顧客の関係も共同体であるべき

楠本:よく理解できます。経済的な成長を前提とした、現状の経済の仕組みが制度疲労を起こしつつある中で、新たなる「枠組み」として、共同体メカニズムに注目し始めたというわけですね。では、マーケティングと共同体メカニズム、そして行動経済学はどのように関係していくと思いますか。

大垣:私はマーケティングを企業と顧客による共同体をより良いものにする活動だと定義しています。たとえば、アップルであればスティーブ・ジョブズが良いと思って提示してきた世界観やプロダクトに消費者が共感して、企業活動をサポートするために商品を買ったりサービスを受けたりするわけです。これは立派な共同体メカニズムだと考えていますし、こういった活動に行動経済学が活用されていくのはいいと思います。

 一方で、世の中には顧客を騙してでも売上が上がれば良いという悪しき企業もいます。行動経済学は非常に強力であるがゆえに、悪用されてしまうケースも出てきてしまいます。マーケターの皆様は、自分が本当に良いと思う商品・サービスを顧客に対してシェアするマーケティング活動をしていただきたいです。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/07 13:01 https://markezine.jp/article/detail/36311

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