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MERYが試行錯誤の末に行き着いた「メディアの次の形態」 20代女性が今求めているものとは

20代女性の価値観の変化

MZ:ビジネスモデルの変革は、ユーザーの変化もひとつの要因だったとお話されていましたが、どのようなユーザー変化を捉えられていたのでしょうか。

木綿:10年前と現在とで20代女性を比べた時に、大きく3つの変化があると考えています。

 1つ目は「他人目線から自分目線へ」という変化です。10年前は雑誌の影響力がまだまだ強く、20代女性の誰もが憧れる強力なアイコンがいました。「愛され女子」「愛され力」などというワードが流行ったことを覚えてらっしゃる方も多いかもしれません。「他人からどういう風に見られるか」という観点で物事を捉える傾向が強い時代だったと思います。

 一方、現在はSNSなどで情報が溢れていることもあり、自分で日々情報を収集し、取捨選択していく中で“自分目線”が強まってきています。ファッションも他人からどう見られるかではなく自分が心地よいものをチョイスするなど、消費行動にも変化が起きています。

MZ:なるほど。“スニーカー女子”が急増したのも、そういった時代的な変化の流れがあるのかもしれませんね。

木綿:次に2つ目は、「キャリア女子から自分アップデート女子へ」です。10年前は、ちょうどワークライフバランスという言葉をよく耳にするようになった時でした。企業に属しながらどう仕事と私生活のバランスを取っていくか、という考えだったと思います。

 ですが、現在の20代女性と接していると、働き方についてはもう少し変化が起きているように感じています。副業が広く認められるようになったなどの時代の変化もありますが、「どういう風に働くのが自分にとって幸せなのか」「自分はどんなスキルを身に着けて、どんな生き方をしていきたいのか」と、自分起点で働き方・生き方を考えるようになっています。その分企業への所属意識は薄くなっているのではないでしょうか。

 最後3つ目が「共感から繋がりへ」です。これは、顕在化しているユーザー変化ではなく、インサイトを捉えたものです。

 インスタグラマーやYouTuberの方々は、より自分たちの身近な存在であるということから“共感できる”という点で注目をされてきました。これが広く浸透し、現在はさらに進んで“繋がり”が求められてきているのではないか、と考えています。

SNS上での心理的安全性の低下などコロナ禍における変化

MZ:SNSへの接し方やライフスタイル、消費行動については、どのような変化があるでしょうか。

望月:SNSについては、従来は素直に自分の好きなものを投稿して楽しめていましたが、現在は誰に向けて何を投稿するかをすごく考えるようになっており、ユーザーの心理的安全性がなくなってきているように感じています。

 これはコロナ禍による影響も大きく関係しています。たとえば、お出かけひとつとっても、人によってどう捉えるかは様々です。お出かけの様子をストーリーズにあげると批判されてしまうかもしれないなどの不安から、投稿の自由度が限定されるようになってきており、親しいフォロワーのみが見られるストーリーズの機能だったり、24時間で消えるストーリーズの機能がよく使われています。

 また、コロナ禍でライフスタイルが様変わりし、それに伴い消費行動も大きく変化しました。若年層は特に一人暮らしの方が多く、一人でいる時間が長くなったことによって、「もっとこういう風に自分を変えたい」「自分らしさって何だろう?」というところに関心が高まっているようです。知的な消費を求める傾向が高い点が特徴的ですね。

 そして消費行動においては、お出かけの際に撮った写真をSNSに投稿できる機会が減ったため、「SNSで投稿できる(映える)×家の中で楽しめる」という2点が重要視されるようになりました。ホームウェアブランドのジェラートピケが過去最高の売り上げを記録したというニュースもありましたね。

木綿:自分をアップデートしようとする傾向はたしかに強いですね。MERYでも、コロナ禍になってから、パーソナルカラー診断や骨格診断のコンテンツの人気がとても高まりました。数万円の費用がかかるにも関わらず、そういったサービスを受けているユーザーは多いんです。

 プチプラの商品を大量に買うのではなく、値段に関係なく本当にいいと思ったもの、自分に合うと思ったもの、またストーリーに共感できるものを厳選するという傾向はさらに強まっています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/04 07:00 https://markezine.jp/article/detail/36394

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