NPSは対象をカスタマイズしながら適切な方法を模索
顧客からのフィードバックについては担当者間のコミュニケーションだけでなく、NPSを用いた計測も実施している。小池氏によると年に1回ほどのペースで全ユーザーを対象にNPSの調査を行っているが、最近ではユーザーの導入フェーズによってもNPSの捉え方が異なるのではないかという仮説のもと、「オンボーディングの完了段階に近い時期に1度測定する」などのカスタマイズも加えているそうだ。今後はNPSも含めてユーザーからのフィードバックや利用状況といったデータの活用方法をさらに模索していく計画だという。
「CoDMONは、保育や教育施設向けに特化した、いくつかの機能群から成り立つ複合的なプロダクト(Software Suite)です。コミュニケーション関連の機能もあれば、請求関連の機能もある。それぞれによって活用方法や活用度合いも異なりますので、NPSという指標の先にロイヤリティという指標も必要かもしれません。まさに(サービスを改良していく上で)どのような数値や指標を活用していくべきかというのを議論しているところです」(小池氏)
最初は思い込みからのスタートでも良い
取材の最後、小池氏に自身の体験も踏まえてPMFに到達するためのポイントを聞いた。
「ある種『思い込み』って大事だと思うんですよね。はじめから情報過多になって顧客に寄り添いすぎると、却って動けなくなってしまうこともある。特にアーリーステージでは、ある程度情報を絞った上で思い切って走ってみることも必要だと思っています」(小池氏)
もともとCoDMONも最初の段階で膨大な事業者にヒアリングをしたわけではなく、小池氏の想いを重視してアクセルを踏んだ。一方で、それだけではマーケットとフィットしない場合もある。
「最初のエンジンとしてある程度顧客層が広がった段階で、改めてしっかりとユーザーと対話をした上で、本質的なサービスの軸を整理したり、(使っている)言語をユーザーに合わせていく行為がものすごく大事になります。『こういうサービスを作りたい』と自分たち目線でスタートしたとしても、どこかでユーザーが使っている言葉に切り替えて、ユーザーにとってのあるべき姿を基にプロダクトや行動を変容させていくことが、PMFにつながっていくのではないでしょうか」(小池氏)
今後はプラットフォーマーとして、他社サービスとも連携しながらCoDMON上でできることを拡充していく計画、と小池氏。コドモンの今後に注目だ。

取材後記
本記事で取材させていただいたCoDMONさんですが、受託開発したシステムをきっかけに生まれたようです。
私はコンサルティング会社を経営していますが、お客様からマーケティング強化のご相談をいただく中で、CoDMONさんのように「受託開発からはじまったヒットサービス」に度々出くわします。受託開発からはじまったサービスは、少なくとも1社はお金を払ってくれる顧客がいた、ということ。もしかするとその後、PMFに至る確率が高いのかもしれません。
CoDMONさんの場合は、プロダクトをリリースした後、営業活動、マーケティング活動、ユーザーヒアリング、既存ユーザーへのアンケート、顧客の元へ足を運んだ現場の観察など、あらゆる手段を使って顧客からのフィードバックを得て、顧客が求める状態にプロダクトをフィットさせに行ったことが伺えます。徹底した顧客理解への取り組みがあったからこそ、1社の依頼からはじまったシステムが2021年4月時点で全国約8,000施設・保育士約14万人が利用するサービスになったのでしょう。
本記事は、事業責任者・マーケターが「現場に足を運べているか」、「顧客の声を聞けているか」、「広告などの各種クリエイティブは顧客に届く言葉遣いになっているか」などを自問自答するきっかけとして、読んでいただければ幸いです。(株式会社才流 栗原 康太氏)