自社の「現在地」を知れば、おのずとパートナー企業は決まる
上述のようにマーケティング全体を統括する人材が社内にいない場合、いきなりパートナー企業探しに着手する前に、まずはするべきことがあります。それは「自社の現在地」を知ることです。マーケティング分野に限ったことではありませんが、いきなり解決策を考え始めるのではなく、課題解決のステップを一つひとつ踏んでいくことで、現状を突破する手段が見えてきます。
解決すべき課題を発見できたら、その課題の原因調査と分析を社内でできる限り綿密に行います。これが、自社の現在地を知るということです。その結果を基に、具体的な課題解決方法を模索していきます。パートナー企業への業務アウトソーシングは、数ある課題解決方法の一つに過ぎません。その前段階である原因調査と分析のフェーズをおろそかにすると、良いパートナー企業と巡り合える可能性は低くなります。反対に、基本的な課題解決の手順をクリアし、自社の課題を掘り起こして可視化していくことができれば、パートナー企業候補は自然と絞られてくるでしょう。
ここからは、自社の現在地を把握するための具体的な手順を紹介します。
(1)課題に対する自社リソースの質や量がどのくらいあるのかを確認する
課題の原因調査と分析とは、まず自社リソースを知ることです。やるべきことは、大きく三つに分けられます。
- ステップ1:社内にその課題に対する専門知識を持つ人材がいるかどうかを知る
- ステップ2:社内に1の人材がいるとしたら、スキルや人数が十分かどうかを調べる
- ステップ3:社内にリソースがない・足りない場合、業務のアウトソーシングを行う
パートナー企業に業務を委託する場合、当然ながら、自社が今、マーケティングにおいてどこを課題としていて、何を改善したいのかを明確にする必要があります。その課題に対する自社リソースの質と量を確認していくのです。
たとえば、リード獲得ができない、ナーチャリングが上手くいかない、商談化率が上がらないなどのマーケティング課題を解決したい企業があると仮定しましょう。「ステップ1」の社内のリソースを確認してみると、Webサイトをカスタマイズできるスキルを持つ人材が複数いることがわかりました。「ステップ2」に進み、スキルや人数について検討します。今回解決したいのはマーケティングに関する包括的な課題であり、Webサイトをカスタマイズできるスキルを持つ人材「だけ」では難しいことが見えてきます。たとえばデータ分析を行える人材「だけ」がいるような場合も同じです。こうしたスキルを有する人材に加えて、マーケティング戦略全体を把握できる人材がいれば良いのですが、人材確保はそうスムーズにはいきません。
このように社内リソースを確認した結果、マーケティング課題の解決に至るまでに足りていないリソースが見えてきました。ここで初めて、外部企業へのアウトソーシングという解決方法が視野に入ってきます。同時に、課題改善に対する予算感も確認しておきましょう。
(2)自社リソースでカバーできている部分と不足部分を判別する
自社リソースを把握したら、次のような観点で自社の現状を洗い出してみましょう。
- ・課題解決のために、業務のどこに注力・投資すべきなのか
- ・今現在、その課題に対し自社リソースでどこまでカバーできているか
- ・自社でカバーできている範囲と、不足分がどれくらいあるのか
- ・不足分を埋めるためにはどんなスキルや人材が必要で、自社で対応することはどこまで可能なのか
このように、現在自社に足りている部分と足りていない部分を判別していきます。自社リソースを把握した段階で「まず始めてみる」という考え方もありますが、それはあくまでも現在地を知るための手段の一つです。マーケティング活動全体に満遍なく施策を実施すれば、ある程度の効果は出るかもしれませんが、根本的な業務改善は見込めないでしょう。闇雲に施策を実行し続けるより、どこに最も効果が高い集中ポイントがあるのかを見出すことが、最も効率的な業務改善へとつながります。

(3)パートナー企業を絞り込む
この手順で自社の現在地を確認したら、今の自社の状態は次のどちらの状態なのかを判断します。
- ・課題が明確で改善プランもいくつか想定できており、ある程度課題解決への道筋が見えている
- ・そもそもどこに課題があるかわからない。現在地の把握まで至っていない
この判断によって、今選ぶべきパートナー企業が絞り込まれてきます。ある程度の道筋が見えている場合、改善プランにマッチする部分的業務をアウトソーシングできる専門企業が相談先となります。そして、そもそもどこが自社の課題なのかの洗い出しから必要な場合は、マーケティングの全体戦略から相談できるパートナー企業を相談先に選びましょう。