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MarkeZine Day 2025 Retail

小島英揮氏と考える!オンライン時代のコミュニティマーケティング

参加者の50%が半年で売上倍増!"EC版ドラゴン桜"「楽天NATIONS」のコミュニティ運営

メンバー募集時の合意形成、期待値の調整は丁寧に

小島:私は日頃、熱量高いコミュニティをつくるにはメンバー選定が重要だと言っているのですが、NATIONSではどのようにしていますか。

渡辺:リーダー店舗候補はNATIONSの運営メンバーからのスカウトや、ECコンサルタントからの推薦です。日々のあらゆる接点で人材を探しています。

 候補者とは合意形成のための面談を2回実施します。選考ではなく、お互いの目線合わせが目的です。コロナ前は必ず先方に伺い、膝を突き合わせてお話してきました。面談では、リーダー店舗は非常に大変な上1円にもならない可能性がある旨を、率直にお伝えします。その上で、なぜやろうと思ったか、参加者に何を提供できるかを伺います。結果、「今は違いますね」と双方納得した上で見送ることもあります。

 リーダー店舗の打診をするかどうかは、その人・その会社・その店舗に大義や熱意があるかを重視します。また、順調に売り上げを伸ばした人よりも、苦労した人の方が、参加者目線に立ちやすいです。

小島:チャレンジ店舗についてはいかがでしょう。

渡辺:参加資格のある人は、手を挙げれば誰でも参加できます。楽天NATIONSの過酷さは業界に知れ渡っており(笑)、本気の人しか来ません。説明会でも負荷の高さや守るべきルールはお伝えして、期待値にズレがないようにします

 とはいえ、いざとなると、売上公開を嫌がる人もいます。その場合は話し合い、納得してもらうか、退会してもらうことになります。日報や課題が出せない人には、リーダー店舗了解の上個別面談し、合意の上でFacebookから抜けてもらうことにしています。そうして、全員が真剣に目標に向かう状態を維持します。

小島:一方で、コミュニティを運営する楽天さんの事務局側にも、相当な伴走力が求められますね。人選や育成も含め、どのようにされているか教えて下さい。

渡辺:相手にコミットメントを求める以上、自分たちも同じ熱量で臨む必要があります。常にFacebook上でのやり取りを注意深く洞察し、売上だけでなく、感情面までケアします。毎回のクラスではアンケートを取り、ネガティブな意見があれば、即座に対応します。

 様々な課題を自分ごとと捉え、常に気を配り、率先して情報を取りにいき、先回りしてきめ細やかな対応をしなければなりません。人材は、店舗売上の上げ方を理解しているECコンサルタントの中から、志願した人が異動してきます。NATIONS独自開発プログラムを受け、2~3ヵ月で合格ラインに達したら現場に出ます。

 現場に出るとこれまで以上に急激に成長します。リーダー店舗もチャレンジ店舗も年上という若手が多いですが、そんな方々が一生懸命努力し、卒業式で泣いているシーンを見ると、より意識が高まるのでしょう。

オンラインへの移行でパフォーマンスが向上

小島:ここまで深い関係を前提としたプログラムをオンラインに移行するのは、かなり大変だと思います。どのような工夫をしましたか。

渡辺:大きくは以下の点を変更しました。今も毎回ふり返りをして、改善を重ねています。

・対面で月に1回だった講座を、オンラインで月2回に増やす
・チームビルディングをオンライン向けに工夫
・ワークシートをオンライン標準化
・参加中のスマホ操作禁止など、オンラインのルールを整備
・チームの分け方も、対面時代の地域別から別軸へ変更

 オンラインへの移行には、良い点も多くあります。遠方の人や、子育て中の女性など、時間に制約ある人が参加しやすくなりました。15分ほどの短い面談も気軽にできるので、軌道修正もしやすいです。全体的には、オンラインのほうがパフォーマンスが上がったと評価しています。そして、今の状況を受け止め、オンラインの良さを見つけ、活用する発想になれる人の方が、売上を伸ばすという傾向も見えてきました。

小島:私も、オンラインには様々な可能性があると考えています。本日は大変リアリティのあるお話、ありがとうございました。

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この記事の著者

高橋 龍征(タカハシ タツユキ)

conecuri合同会社 代表社員

CSK(現SCSK)で営業、経営企画に従事後MBAを取得し、ソニー、サムスン電子での事業開発マネジャーやテック企業の共同創業を経て独立。14年を超える複数のコミュニティ運営を通じて、セミナーや研修の企画に携わり、年間200セミナーを形にした他、コミュニティ構築支援などに複業の幅を広げ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/22 08:30 https://markezine.jp/article/detail/36578

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