受講料は成果課金型、チームで売上倍増を目指すコミュニティ
本連載では、パラレルマーケター/Still Day One 合同会社 代表社員 小島 英揮氏が、早稲田大学の社会人教育事業「WASEDA NEO」にて実施する連続講座の様子をレポートします。
小島:はじめに、楽天NATIONS(以下、NATIONS)の概要を教えて下さい。
渡辺:成功を収めている店舗が先生となり、生徒であるチャレンジ店舗が半年で売上倍増を目指す、実践型のプログラムです。
先生役のリーダー店舗1人に対し、生徒のチャレンジ店舗20人で1クラスが組まれ、毎月2回、合計3時間~5時間の講義があります。半年で全12回の講義に全参加の上、課題や日報提出も義務付けられており、大変負荷は高いですが、参加者のうち50%が売上倍増を達成します。
2016年に24店舗からはじまり、今年10月には累計参加店舗数が5,000を超えます。リーダー店舗も160に達し、今年は初めてチャレンジ店舗出身のリーダー店舗が誕生しました。
受講料は完全成果課金型で、目標未達なら1円も払う必要がありません。達成時は、前年同月売上を超えた分の5%をリーダー店舗、2%を楽天に払います。
楽天市場としては、3年後、5年後も店舗さまが継続して稼ぐ力を身に着け、売れ続ける店舗になって頂けるような運営を心がけています。店舗間の横のつながりや切磋琢磨も期待でき、リーダー店舗のロイヤリティが高くなり、楽天市場を使い続けていただける動機にもなります。また、楽天らしさを世に広めるための意義もある活動です。
小島:半年で売上倍増とはすごいですね。成果が上がる理由について、どのように考えていますか?
渡辺:高い目標に向けて全員が熱く一丸になれる仕組みが回っているからだと思っています。先日ドラマ「ドラゴン桜」を観ていたら、1人で勉強するよりチームで目指したほうが、東大合格率が高まる、というようなセリフがあり、このプログラムに通ずると思いました。EC運営は孤独な作業なので、目標や悩みを分かち合い、相談できる仲間がいると、大変な励みになるのです。
熱いチームを成立させる要素は次の4つだと思います。
(1)共通の高い目標
(2)尊敬できる先生
(3)メンバー間の切磋琢磨
(4)自己開示と情報共有
半年で売上2倍という目標は、努力してなんとか到達できる“ギリギリの高さ”です。それより低いと偶然に達成することもありますし、高過ぎれば諦めてしまいます。また、成果報酬は、教える側、学ぶ側、事務局の全員が同じ目標に向くための仕掛けです。
店舗運営で成果をあげている人が先生なので、尊敬も共感もできます。これまでの自身や自分の店舗の限界を突破するには、個々の課題を開示して、他者から協力を得る必要があります。そして、信頼関係を構築できていなければ、自己開示も情報共有もできません。そのための店舗間の関係構築を入念に行っています。
初日は本音で話せる関係づくりに徹する
小島:関係構築はどのように進めているのでしょうか。
渡辺:初日は丸々チームビルディングです。たとえば、自分について一枚の紙にまとめ、皆に発表してもらいます。内容や形式はあえて指定しません。そこに個性が出るからです。趣味などのプライベートな部分も含め、文字だけでなくイラストも使って表現します。
参加者同士が助け合う経験をするために、一緒に何かを作るゲームなども必ず入れます。お互いはニックネームで呼び合います。初日の最後は目標を宣言して、懇親会にも参加いただききます。
いわゆるセミナー形式のノウハウ習得を期待して来た参加者の中には、最初は面食らう方もいるようですが、お互いを知らなければ本音では話せません。当初は固かった雰囲気も、とても打ち解けたものになります。