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MarkeZine20周年特別企画

なぜ組織は迷走するのか。「戦略不在の20年」を脱し、BtoBマーケティングを進化させる道筋

 日本のBtoBマーケティングはこの20年で大きな変化を遂げ、多くの企業が組織の立ち上げや施策の実行に取り組んできました。しかし実際の現場を見ると、今なお多くの企業が思うように成果を出せずにいるのが実状です。本記事では、シンフォニーマーケティングの庭山一郎氏にインタビューを実施。なぜ志を持って作られた組織が機能不全に陥ってしまうのか、営業との深刻なすれ違いを生み出す要因や、組織の変革を阻む上層部の意識の壁など、日本の中堅・大手企業が直面している構造的な課題の正体に迫ります。

「広義の成功」が招いた、デマンドジェネレーション空白期

MarkeZine編集部(以下、MZ):MarkeZineは2026年5月、創刊20周年を迎えました。20年前から現在に至るまでの日本のBtoBマーケティングシーンの変遷を、庭山さんはどのように見ていらっしゃいますか。

シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役 庭山 一郎氏
1990年シンフォニーマーケティング株式会社を設立。36年間で約600社超の企業に対しB2Bマーケティングのコンサルティングを手がける。各産業の大手企業を中心に国内・海外向けのマーケティング&セールスの戦略立案、組織再編、人材育成などのサービスを提供。海外のB2Bマーケティング関係者との交流も深く、世界最先端のマーケティングを日本に紹介している。中央大学大学院ビジネススクール客員教授、早稲田大学大学院 WASEDA NEO 講師、2024年より「日経クロストレンド BtoBマーケティング大賞」審査委員長を務める。著書に『この1冊ですべてわかる BtoBマーケティングの基本』(日本実業出版社)、『法人営業は新規を追うな 重要顧客と最高の関係を築くABM』(日経BP)、『儲けの科学 The B2B Marketing』(日経BP)、『BtoBマーケティング偏差値UP』(日経BP)など多数。

庭山:日本のBtoB企業のマーケティングには、まだ「大きな課題が残されている」と感じています。ただし、これは日本企業全体の話ではなく、スタートアップを中心にうまく形にしている企業もあります。私が特に遅れを懸念しているのは、中堅・大手企業です。

 この変革が遅れてしまったのは、シンプルに「これまではマーケティングがなくても、十分に成長できてしまったから」です。

 もっとも、本来のマーケティングという概念は非常に広いものです。ものづくりやリサーチ、ブランディングなどもすべて含まれますし、突き詰めればマーケティング戦略と経営戦略はほぼ表裏一体だと言えます。その視点で見ると、日本の中堅・大手企業がここまで成長を遂げてきた背景には、こうした「広義のマーケティング」が高いレベルで機能していたという事実があります。つまり、これらの企業はアプローチの選択肢が豊富だったが故に、新しくマーケティングに取り組む必要性が薄かったのです。

 そんな日本企業において、今、突出して足りていない最大の弱点が「デマンドジェネレーション」です。最近は、その進化系である「ABM(Account Based Marketing)」に取り組む企業が増えていますが、より精緻なデータとコンテンツの管理が求められるABMの運用には、土台となるデマンドジェネレーションの経験が欠かせません。

 日本経済の大部分を稼ぎ出しているこれらの中堅・大手企業が、このデマンドジェネレーションの仕組みを実装して強くならなければどうにもならない。ここには強い危機感を持っています。

急造したマーケティング組織が空中分解する理由

MZ:そうした過去の状況から、企業の動きは現在変わってきていますか。

庭山:マーケティングに以前から取り組んでいた企業とそうでない企業の格差が明確になってきたこともあり、多くの経営層が危機感を持ち始めています。ただ、実際の取り組みを見てみると、迷走している企業が少なくありません。

 私はよく、経営学者イゴール・アンゾフ博士の「3S(Strategy=戦略、Structure=組織、System=システム)」という原理原則の話をします。課題を解決したければ、まず「戦略」を立てる。それができたら、戦略を実現するための「組織」を作る。この2つができて初めて要件定義ができ、「システム(ツール)」が選べるという原則です。

 ところが実際は、戦略と組織が伴わないまま、MAやSFAといったツール導入ばかりが先行しています。そもそも社内で「マーケティングとは何か」という定義自体もバラバラで、「デマンドジェネレーション」もやったことがない。戦略がないから組織の適正人員も評価基準もわからない──。そのため、現場は従来の展示会やメルマガといった部分最適な施策に終始してしまい、本質的な改革に結びつかないのです。

 さらに問題なのは、そうして急造された組織が、3年ほどで解散に追い込まれてしまうケースが増えていることです。

MZ:せっかく立ち上げたマーケティング組織が空中分解してしまうのですか?

庭山:ええ。組織を立ち上げて3年ほど経つと、上層部から「ROI(投資対効果)」による明確な成果を求められるケースがあります。しかしここで課題となるのは、「効果(リターン)」の定義が曖昧なまま、評価の議論が進んでしまうことが少なくない点です。

 本来、マーケティングの成果が「実際の売上や利益」として確定するには、営業が案件を受注し、納品まで完了する必要があります。しかし、最初の接触から受注までに5〜7年かかることも珍しくないBtoBビジネスにおいて、マーケティングの売上貢献度を正確に算出するのは極めて困難と言わざるを得ません。こうした評価基準における認識のズレが、結果として組織の成長を阻む要因になっているのではないかと危惧しています。

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マーケティング偏差値の統一がもたらす「真のアラインメント」

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2026/07/01 07:00 https://markezine.jp/article/detail/76999

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