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現代の女性マーケターへ送る、キャリアを考えるヒントと材料

女性視点・ライフイベントを強みにする。女性マーケターのキャリアの考え方


 リモートワークや副業が一般化しつつある今、自分らしく働きたいという女性マーケターが増えてきています。上場企業からスタートアップまで様々な企業で経営戦略・広報に携わった経験を活かし、自らブランディングや経営コンサルティングの支援を行う会社を立ち上げた志賀祥子さんに、女性マーケターのキャリアデザインの考え方について教えていただくこの連載。初回は、キャリアデザインを考える時の2ステップをご紹介します。

女性のキャリアはライフイベントを見据えることが重要

 厚労省の調査によると、女性の就業率は全世代で2014年から6年連続で上昇しており(ただし2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で0.4%低下)、共働き世帯も増加。男女雇用機会均等法が発令されてから49年、いまや女性が働くのは当たり前の時代になりました。

 一方で、女性が働きやすい環境が整っているとはまだ言えないのが日本の現状です。マーケティングや広報PRの職についている女性たちからは、「子供が生まれてもこれまで通り仕事を続けられるのだろうか……」「将来のキャリアをイメージできない」という声をよく聞きます。

 女性にとって、「ライフ」と「キャリア」は密接な関係にあります。結婚や出産、育児などのライフイベントに左右されやすいことは事実。物理的に避けられないことでもあるでしょう。一方で、「その将来起こりうるライフイベント」や「それに伴う課題・壁」を事前に見据えておくことはできるはずです。

 そこでこの連載は、自分らしい働き方を考えるヒントや一歩踏み出すきっかけになるようなテーマで展開していきます。初回となる本稿では、私の考えるマーケターのキャリアデザインの考え方をご紹介します。

キャリアデザインの考え方

1.ライフイベントは強みになる。従来の固定概念から解放されよう

 女性にとって幸せなライフイベントである結婚や出産。一方で、それを機に「第一線で働き続けることが難しくなるのでは……」と不安に思う方もいるかもしれません。実は私自身もそうでした。

 しかし、実際に自分がライフイベントを経てわかったことがあります。それは、マーケティングという職種は、女性ならではのライフイベントや経験を付加価値に転換することができるということ。

 たとえば、ライフイベントを機に今まで知らなかった「共働き」や「ワーキングマザー」といった当事者になることで、市場の消費者動向を「当事者」として身をもって知ることができます。また、当事者になったからこそわかる課題やニーズを理解できることも。私自身も、ライフイベントを機に、より消費者視点に立ったコンサルティングや戦略立案ができるようになり、仕事の幅が広がったことを実感しています。

 加えて、既婚女性向けに行った当社の調査では、就業の有無に関わらず、「消費の意思決定権の8割が女性にある」ことがわかっています。これは日用品や食品といったものだけでなく、住宅や家具、家電など金額が大きな買い物に関しても同様です。こうした現代の社会背景からも、消費者の動向を考える時にいかに「女性視点」が役立つかがわかるのではないでしょうか。

2.今を知り、将来を見据える

 キャリアについて考える時、みなさんはどんなことを考えますか? どんな仕事をしていきたいか、どんなポジションを目指していきたいかなど、仕事の内容はもちろん重要。加えて、在宅勤務やフレックス制度など環境面も無視できませんよね。

 そこで、ぜひ次の2ステップで一度考えてみてください。現状を整理でき、漠然とした状況から目指す方向性がクリアになるはずです。

 私自身、社長秘書から広報責任者、そして起業とキャリアを切り開いていくタイミングで、常にこの2ステップを意識してきました。

【ステップ1】キャリアの「現在地」を把握する

 ファーストステップは、自分のキャリアの棚卸しから始めていきます。今までの経験やキャリアについて、自分を客観視しながら考えていきましょう。

 なかなか自分を客観視するのは難しいと思う方もいるかもしれませんが、やり方は簡単。自分の経験やスキルについて、ハッシュタグをつけて書き出してみましょう。「#マーケティング」「#プロモーション」「#新規事業」といった職種や担当業務から、さらに細かく「#企画」「#運用」などと洗い出していきます。

 たとえば、「#戦略設計」「#部門の立ち上げ」など一言で表せないことでもOKです。また、経験だけでなく、「得意なこと」「苦手なこと」といった2軸でも書き出してみると、自分の強みや価値観を改めて可視化することができるでしょう。

【ステップ1】筆者の場合

 私が独立を見据えて行ったキャリアの棚卸しでは、当時の自分に不足している経験が明確になりました。

 下記を見ると、様々網羅しるように見えますが、実は上場ベンチャー企業での経験がないことがわかります。そこで、独立前に経験を積むために入社したのは、上場ベンチャー企業での経営戦略室立ち上げおよび広報責任者というポジションでした。

【職域】 #経営企画 #広報 #ブランディング #販促企画 #新規事業 #プロモーション

【ポジション】 #責任者 #マネージャー #部署立ち上げ

【事業】 #BtoB #BtoC #BtoBtoC

【所属企業規模】 #大手上場企業 #スタートアップ #ベンチャー企業

【ステップ2】キャリアの「目的地」を決める

 ステップ1で自分の現在地が見えたら、次は「目的地」を決めます。何年後にどういった仕事をしていたいか、どんな働き方をしていたいか、さらにはどんな自分でありたいか。自分とじっくり向き合いながら、考えていきましょう。

 加えて、プライベートで自分自身が成し遂げたいことも考えてみるとよいです。予想できないライフイベントについては、なんとなくでもよいので、イメージしてみることが大事です。パートナーがいる方は、一緒に考えてみてもよいでしょう。

 自分の向かう「目的地」がイメージできれば、そこにたどり着くためにどんな道筋があるのかを考えていくことができます。その際の選択肢は無限です。今までもスキルをより深めていくことも、新たな領域に挑戦してキャリアの可能性を広げていくこともできます。ぜひ「目的地」を具体的にイメージしてみてください。

【ステップ2】筆者の場合

 私は独立を見据える際、「将来の育児期に柔軟に働ける環境を事前に確立しておきたい」ということに重きを置いて、自分の目的地について考えました。それは決して簡単ではないことも理解した上で決断。妊娠・出産を仮に30歳と想定し、残りの時間で何ができるかを考えました。

 「ライフイベント(出産)を迎えるまでは、仕事にプライオリティを置き、実績作りに専念する」「産後はその実績をもとに仕事復帰し、事業を拡大していく」と考え、独立後から妊娠するまでの2年間は仕事にまい進しました。

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この記事の著者

志賀 祥子(シガ ショウコ)

東京都出身。上場企業からベンチャー企業まで幅広い組織で広報責任者や経営戦略室立ち上げに従事。2015年に将来の育児期を見据えて独立しリモートでのコンサルティング事業を立ち上げる。出産を経て2019年に株式会社MaVieを創業。経営視点を持つ企業広報・ブランディングの専門家として、各種戦略立案から施策まで一貫して支援...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/07/08 15:12 https://markezine.jp/article/detail/36616

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