営業から管理部門へ、その経験も現在に活かす
野崎:博報堂とアイレップの経験を通じて、マーケティング領域における営業スキルを一気に会得した佐藤さんですが、入社4年目である20代後半に差し掛かる2013年に役員直下で上場準備の業務統括を担当されていますね。
現在の業務とは直接関係ない部分ではあると思いますが、活きていると感じるところはありますか?
佐藤:この時代、内部統制の強化やワークフロー改善、規程の校閲、事業計画の整理などの社内整備から、東京証券取引所向けの書類作成・質問書への回答やコミュニケーションまで、挙げだすとキリがないくらいに様々な業務を行っていました。The Trade Deskも私が入社してからアメリカで上場していますが、成長する中で新しい仕組みやルールを構築していくことになります。
今どのような仕組みやルールが必要か、会社としてその制度で何をどこまで担保するかの勘所は良くなりましたね。

できあがった組織ではなく、大きくなっていく組織へ
野崎:現在の職域とは直接関係のないスキルも有効活用し、掛け算でキャリア形成ができていることがわかりました。続いて、現在のThe Trade Deskに転職した背景を教えてください。
佐藤:アイレップが無事東京証券取引所市場第二部へ市場変更できたあとから半年ぐらいの間、次のキャリアについて考えるようになりました。その中で見えたのが、キーエンスをやめたときと同様、「できあがった市場や組織から、市場も組織もこれから大きくなっていくところで挑戦したい」という軸です。
アイレップでも成長する余地はまだまだありました。ただ自分のやりたいことを考えたときに、さらに組織として若いフェーズのベンチャーに入っていきたいという意志が強くなりました。
その中で、自社で先進的なテクノロジーを保有しアメリカで急成長しているThe Trade Deskを知りました。海外で成長しながら、日本では立ち上げ段階にあるため、幅広い経験ができると感じました。そして何より、会社のカルチャーや目指すビジョンに共感ができたため、入社を決めました。
野崎:2回の社外転職を通じて、自らのキャリアの軸を見つけることができ、そして自身の持つスキルを存分に活かして英語での業務にも対応していき、今の佐藤さんができあがったわけですね。
佐藤:そうですね。ただ、これまでの経験を存分に活かしつつ、毎回ゼロベースで学びなおすスタンスを大事にしています。一部の専門職を除き過去の経験はすぐ陳腐化するので、学習する力を維持し続けるのが重要だなと思います。
野崎:ここまでで佐藤さんの成長を支えているのは、周りに助けてもらいながらも相手に価値を返していくスキルの高さにあると感じました。キーエンス時代も工場勤務の方から企業の商品開発部の担当者まで幅広い人とのコミュニケーションを経験し、アイレップ時代も博報堂とアイレップそれぞれで先輩の力を借りながらスキルアップしてきました。
佐藤さんのように外資の日本法人、もしくは異業種への転職などを考えている方は自身が持つ汎用的スキルが何かを整理したうえで、キャリア形成を進めてはいかがでしょうか。
転職サービスで深い意図なく求人案件を眺めているよりも有効な対策になるでしょう。
