コロナ禍によるマーケティング環境3つの変化
新型コロナウイルスがもたらした社会を整理していきましょう。特にマーケティングの分野では以下の3つの変化が生じています。
第一に、マクロレベルでの需要変動が激化した、または不確実性が高まったことです。たとえば、飲食業界や旅行業界は外出の可否が政府や自治体の決定一つで大きく変化する状況下にあります。そんな中で正確な需要予測を立て、仕入れや人繰りを行うことには限界があります。
たとえば、コロナ禍で雇用を削ったにもかかわらず、GoToキャンペーンのような消費喚起策が突発的に生じる場合、需要の拡大に応えることは非常に困難です。逆も然りで、オリンピックに備えて人員増強を行っていた飲食・旅行業界が昨年の緊急事態宣言で被った打撃は衝撃的でした。
実際に、マクロミルが2011年から毎週継続して実施している消費者定点観測「Macromill Weekly Index」では、昨年4月の景況感の変動を「観測以来初の出来事」と評しています。
第二に、顧客の消費活動そのものが鈍化したことです。特に「自宅外」で大人数の交流と共に消費される食事会・飲み会、国内旅行、映画・コンサート・スポーツ観戦は、4月以降の需要が大きく減少しています。
また、ゼネラルリサーチが2020年を振り返った「消費と対応の動向調査」では、回答者の約半数が例年に比べて消費が減ったと回答しているのに対し、増えた・やや増えたと回答したのは6%程度となっています。
第三に、消費者感情が繊細になったことです。今般のSNS情勢などから多くの方がお察しの通り、企業のプロモーション施策が炎上や不買運動に直結するような事態がたびたび発生しました。
シエンプレ社のデジタル・クライシス総合研究所の調査によると、2020年の炎上発生件数は前年に比べ、前年比で115%増となったとされています。
これらの変化を受け、企業は従来よりも不確実性が高く見通しの立たない事業環境下において、消費意欲そのものが落ち込み、より一層センシティブになった消費者に向き合わなくてはならない、という立場に立たされています。
