Webサイトでフリクションが生じる4つの障壁
ユーザーがコンテンツにたどり着き、欲しい情報を入手するまでの流れは、次のように分解できます。

- 1.コンテンツの存在を認知・認識する
- 2.コンテンツを見ようと決める
- 3.コンテンツに到達する行動を取る
- 4.コンテンツに到達し内容を理解する
このそれぞれの過程で、フリクションが生じる可能性があります。順番に見ていきましょう。
1、コンテンツの存在を認知・認識する
まずは、ユーザーが「自分の見たいコンテンツが何か」を認識する、あるいは「Webサイトにそのコンテンツがあること」を認知する必要があります。「あるいは」と書いたのは、ユーザーが常に自分の見たいコンテンツに自覚的であるとは限らず、Webサイトを見ている中で「これを見たい」と思う場合があるからです。
これは当たり前に思えますが、意外に簡単なことではありません。
たとえば、ECサイトの利用に慣れているユーザーにとっては、「返品を無料で受け付けてくれるECサイトがある」「返品ポリシーはFAQに書いてある」「大抵のECサイトにはFAQページがある」ということはわざわざ伝えなくてもわかっていることでしょう。
しかし、ネット利用に不慣れなユーザーにとっては、そもそも返品ポリシーというコンテンツがあること自体を知らないかもしれません。その場合「そういえば、返品したいときってどうなるんだろう」という疑問が湧いても、その場で答えが書いていなければ「不安だから今は買うのを止めよう」と離脱してしまいます。コンテンツの存在を認識していない場合、そんなコンテンツがあることにすら気づかないということになりますので、フリクションとしてはかなり大きなものになります。
たとえ途中のページのどこかに書いてあったとしても、上から順に書いてあることを全部読むユーザーは多くはありません。ユーザーは必要な情報・見たい情報だけを選択的にザッピングするような見方をするので、そのタイミングで無関係・無関心なコンテンツは見逃されてしまいます。
「ユーザーの視界に入る」ことと「存在を認知する」ことは別物です。ページに書いておくだけでなく、気づいてもらう必要があるのです。
ここでは「コンテンツの存在をどう認知してもらうか」がフリクションレスな体験を作る上で重要になります。
フリクション
見たいコンテンツが存在するにもかかわらずその存在に気づかない
フリクションレスにするには
ユーザーが関心を持つタイミングで、コンテンツの存在を認識させる
2、コンテンツを見ようと決める
コンテンツの存在を認知したとしても、ユーザーがそれを見てくれるとは限りません。Webサイトの場合、ユーザーが自らそのコンテンツを見ようと決めて行動をする必要があります。本当は関係があるコンテンツでも、「今の自分には関係ない」と感じたらそのコンテンツを見ようとは思わないでしょう。
たとえば、ECサイトで「まだ買う商品を決めていない」「そのWebサイトで買うかどうかわからない」と思っているユーザーにとって、返品ポリシーはわざわざ見に行こうと思うコンテンツではありません。
人間の認知の仕組みとして、自分に関係あると思えるものは認知しやすくなりますが、そうでないものは認知しにくくなります。これは「カクテルパーティー効果」と呼ばれるもので、ざわついた状況でも自分の名前を誰かが話すと耳に入ってきやすいというのは人間の特性としてご経験のある方も多いのではないかと思います。
また、自分と関係があると思いつつも「見るのが面倒だな」と思って見ない場合もあります。クリックして読み込みを待たないといけない、他に興味を引くものがある、重要性を認識していない、後で見ようと思うなど、見ない要因には様々なものがあります。
ここでは「そのコンテンツの必要性・重要性を理解してもらう」ことがフリクションレスな体験を作る上で重要になります。場合によっては「面倒さ」を取り除く工夫や、面倒でないことを伝える工夫も考える必要があるでしょう。
フリクション
コンテンツを認知・認識したにもかかわらず見ようと思わない
フリクションレスにするには
ユーザーが関心を持つタイミングで、コンテンツの重要性・必要性を認識させる
コンテンツを見ることの面倒さを取り除く
