Criteoが進めるコンテクスチュアルの特徴
高橋:続いて、(3)コンテクスチュアルに関しておうかがいします。各社が注目している手法だと思いますが、御社ならではの特徴や強みなどはありますか。
中村:Criteoの強みは、ダイナミックリターゲティングで培ったレコメンデーションの仕組みを活かせる点にあると思います。つまり、コンテキストを考慮しながら最も関連性の高い商品をレコメンドできるということです。既に日本でもこの四半期から、数社のお客様とテストを開始しています。
また、ロウワーファネルというよりは、どちらかというとミドルファネルでの活用に重きを置いています。ユーザーに興味・関心を持っているであろうものを出して、まずサイトに集客するといった使い方ですね。
これまで新規や未訪問ユーザーの興味・関心については、既存ユーザーの傾向から類推する配信手法をとっていたので、そのユーザー自体が本当は何に興味持っているかということはあくまで予想にとどまっていたんです。それでも精度はかなり高くなっているのですが、コンテクスチュアルのような手法を使うことで、当該のユーザーが今閲覧しているコンテンツをベースにして興味関心を予測できるようになります。これまでのやり方とは違った新規のユーザーを連れてくることができるのではないかと期待しているところです。
高橋:おもしろいアプローチですね。完全な新規というよりも、あらかじめ興味をもった新規顧客ということになりますね。利用広告主のKPIも少し変わってくるかもしれません。
リテーラーの収益化支援にも注力
高橋:最後に改めて、御社が今後注力されていく領域、課題について教えていただけますか。
中村:一つは先ほど申し上げたように、デジタル広告展開のすべてでCriteoをプラットフォームとして使っていただけるようにしたいです。オープンインターネットにおけるフルファネルのプラットフォームというポジショニングを築いていきたいですね。
別の側面では、リテールの皆様の収益化をさらに支援していけるような新しいソリューションを開発中です。これは「リテールメディア」というソリューションになります。これまでは主に広告主としてご一緒してきたのですが、彼ら自身のECサイトにも多くのユーザーがいらっしゃいます。そこでたとえばECサイト内に商品レコメンド用の広告枠を設けていただいて、その広告枠を我々がネットワーク化して商品の販売促進をしたいメーカーさんに対して広告商品を提供できるようになります。我々が今まで培ってきたソリューションが活用できるので、収益化のご支援を進めています。
高橋:このリテールメディアという発想はすごく新しいなと思いました。リテーラーが広告枠を持てるということですよね。その仕組みを自分たちだけで構築するのは難しかったりもするので、良い取り組みですね。
中村:ありがとうございます。仕組みの構築の面ももちろんですし、リテーラーさんの広告枠を私たちのほうでネットワーク化することで、収益が出せるメリットもあります。
高橋:なるほど。これから日本でもいろいろな事例が出てくると思うので、楽しみにしています。
中村:ただ、こうした新しい成長機会を掴んでいくためにも、やっぱりCookieレスの対応を行うことが必要になってきますので、引き続き様々な面から探っていきます。
加えて、グローバル単位での動きとして、エンドユーザーとのコミュニケーションを強化していこうとしています。Cookieの廃止はアドテク業界では大きなニュースになっていますが、多くの方々にとっては「Cookieとはそもそも何か」「自分のデータはどのように使われているのか」といった事柄について、学ぶことができるような場があまりなかったのではないかと思います。具体的なプログラムの内容などはまだ発表できないのですが、ユーザーの方々が気軽に学べるようなコンテンツを提供するなど、直接訴え掛けていくようなキャンペーンを検討しています。
高橋:それは画期的ですね。発表を楽しみにしています。今日はありがとうございました。