コロナ禍を受けてBtoB業界に起きている変化
セッションは、シンフォニーマーケティング 庭山氏の「私の肌感覚では、欧米よりも10~15年遅れている。本当に危機的な状況です」という現状を捉えたコメントから始まった。マーケティング部門だけではDXは進まない、という大前提を確認した上で、討論は「コロナ禍で起きた変化」へ。遅れている日本のDXを急加速させているのが、コロナ禍による影響だという。
古森:非常に遅れをとっている日本企業のDXですが、このコロナ禍でマーケティング、セールスの在り方はどのように変わったとお感じになられていますか?
山口:みなさん前々からDXには取り組まれてきたと思いますが、コロナはこれを明らかに加速させていると感じています。いかに早くデジタル化を進めて、お客様との接点を確保するかが、ある意味企業課題になっている状況です。
しかし、そのためには、カスタマージャーニーやコンテンツマーケティングを踏まえて、今セルフラーニングしているお客様にどうタッチするかを考えなければいけない。さらにそのためには、データを使う必要がある……という風に、DXに関するニーズがアクセラレートしている。いかに早くPDCAを回して、これにチャレンジできるかが今企業に課されているひとつの課題であると感じています。
庭山:私は会社を作って31年、日本のBtoBマーケティング業界で35~36年のキャリアがありますが、今まで経験したことのない追い風が吹いています。コロナウイルスによって苦しまれている方もたくさんいらっしゃいますが、ことBtoBマーケティングの普及だけにフォーカスすると、暴風の追い風なんです。
日本ではリーマンショック後から本格的にBtoBマーケティングへの取り組みが始まりましたが、極端なことを言うと、私は日本のBtoBマーケティングは一度死んだと思っています。マーケティング部門を作りました、ツールも導入しました、なのに全然売り上げに貢献できません、営業からも販売代理店からも評価してもらえません……というような感じで、瀕死の状態にあるマーケティング部門が非常に多かった。
ところが、コロナ禍でお客さんに電話もできない、訪問もできない状況になると、今までマーケティング部門に頼ったこともない営業さんたちが、「どうにか空中戦で助けてくれないか?」とマーケティング部門に期待を寄せるようになった。起死回生の逆転満塁ホームラン、このチャンスを活かさない手はないというくらいの追い風がビュービュー吹いている状況であると解釈しています。