Z世代のSNS利用状況は?
――ソーシャルメディアのアプリだと、Instagramが起点になっているという話がありましたが、他のアプリに関してはいかがでしょうか。
ソーシャルメディアのアプリに関して目立つのは、TikTokの利用です。TikTokはZ世代の利用比率が高く、MAUも多いのが特徴です。また、位置情報をシェアしてコミュニケーションを行うZenlyやゲームに特化したチャットアプリのDiscordなどがZ世代の比率が高く、用途別にアプリを使い分けて、常に「つながり」を求めている世代であることがわかりました。

また、TwitterやLINEに関しては、Z世代の比率が高いという結果は出ていませんが、男女問わず高いMAUを誇っています。また、女性の間でPinterestが人気になっているのもデータからはわかります。そして、上位アプリだとFacebookのみZ世代利用比率が低いことが明らかになりました。同アプリの利用用途について聞いてみると「友達とのコミュニケーション目的というよりも、ビジネスやその他の目的」という回答が得られています。
マスで見ずにターゲットを絞ることが重要に
――今回の調査結果をもとに、マーケターはどのようなことを意識すべきでしょうか。
アプリディベロッパーに関しては、Z世代の中でも細かくターゲットを絞っていくことが重要だと思います。サービス設計やメッセージ、広告チャネルをマスで捉えてしまうと、ミスリードにつながります、Z世代を狙うのであれば、特性を把握した上で細かくターゲティングしたアプローチが求められます。
一方、アプリを提供していない事業会社に関しては、「Z世代にアプローチしたいから」とアプリを開発・提供する必要はないと思っています。モバイル上では様々なアプリが生まれており、競争も激しくなっています。
そのため、アプリを新たに作ってZ世代にアプローチするよりは、モバイルアプリのマーケットを理解し、自社のターゲットが多く存在するアプリ上でコミュニケーションを展開することが重要になってくると思います。
アプリの取捨選択とマルチ利用が加速
――最後に、今後Z世代のアプリ利用がどのように変化していくか、展望を聞かせてください。
今後はよりアプリの取捨選択が進み、マルチ利用が進んでいくと考えています。モバイルを起点としたサービスが当たり前となり、その中から自分に合ったサービスを選んでいき、合わないものはすぐ使うのをやめてしまう。このサイクルがより早くなっていくでしょう。また、流行り廃りのサイクルが早くなると同時に、熱狂的に特定のアプリを利用する流れも強くなると思います。
そして、アプリのマルチ利用は、常時誰かとつながっていたいというZ世代のインサイトからもわかるように、今後加速すると思います。コロナ禍がそれを後押ししており、グループインタビューの中では「LINEの通話を24時間つなぎっぱなしにしている」といった声もありました。こういったモバイル上のコミュニケーションが様々なジャンルに波及していくと考えています。
一方で、デジタルデトックスのように、デジタル上のサービス・情報を遮断するアプリの需要も高くなると予測しています。常時デジタルとつながることにストレスを感じる人もいるので、スマホを一時的にロックするアプリや瞑想アプリといったものが流行するのではないかと考えています。