アスリートの理想の“勝負香り”作りにも
飲食体験や購買体験、また感性教育に至るまで様々なシーンで新しい価値の創出を目指すSCENTMATIC社だが、東京2020オリンピックが開催された今年、香り×スポーツ分野での新たな挑戦として「SPORTS×KAORIUM」プロジェクトを実施。フェンシングエペ日本代表見延和靖選手を同社の「Chief Sports Officer」に迎え、嗅覚を刺激しアスリートのパフォーマンスを最大化する香りを開発した。
NEXUS FENCING CLUB所属。日本男子エペ個人では初のワールドカップ優勝を成し遂げ、2016年のリオ五輪では悲願の個人戦出場、6位入賞。2018〜19シーズンでは、ワールドカップ1勝、グランプリ2勝、 世界ランキング1位。日本フェンシング界史上初の年間王者に輝き、2020年よりJOCシンボルアスリートに選出。名実ともに日本のトップフェンサーとして東京2020オリンピックに出場。フェンシング男子エペ 団体で見事、日本フェンシング史上初の金メダルを獲得した。
栗栖氏は「試合時のパフォーマンスを最大化するためには、身体面はもちろん精神面も数日前から整え、リラックスさせておく必要があります。今回は、本プロジェクトのChiefSportsOfficerに就任いただいた見延選手と共に、KAORIUMを活用し、自宅やホテルでのオフの時間に最高にリラックスできる、パーソナライズされた香りの開発に挑戦しました」と狙いを話す。
見延選手によると、実際にアスリートにはリラックス目的で香りを活用する人は多いそうだ。
「メンタリティやコンディションを整えるのに香りを活用することもあります。年間たくさんの試合があり、海外のホテルを拠点に気候や環境が変わる中で、同じパフォーマンスを発揮しなくてはいけない。コンディションを整えるのに、空間づくりが大切で、特に香りは重要です。ホテルではま部屋を換気し、自宅で使用しているものと同じ香りにします。海外遠征でも日本で使っている同じ洗剤を持っていきます。それで試合前日の心の整い方や、寝つき方も変わります。今回は、試合前のリラックスに、心が休まるだけでなく、程よい緊張感も保てるような理想の香りを今回作りたいなと思いました」(見延選手)
試合に挑む見延選手の“勝負香り”は、メインのスイートオレンジとベルガモットをベースに、適度な緊張感を保ってくれるナツメグの香り、そして、キーポイントにもなったがパチュリーの香りを加えたものになった。
「華やかさ、みたいなものが欲しいなと思って。香りの企画段階で、僕が思っているこの華やかさってなんだろう……と、KAORIUMのAIシステムを使いながらプランナーの方といろいろ話している中で、パチュリーが求めていた香りの要素だなと気づきました。
そしてそのパチュリーを示す言葉が“雅やか(みやびやか)”だったんですよね。僕自身もその“雅やか”という言葉がしっくりきて。“華やか”ではなく“雅やか”。それが今回いちばん印象的な言語化体験でした」(見延選手)

五感を揺るがす“香りの言語化”は、今後も様々なシーンでの活用が見込めそうだ。マーケティングツールとしてのさらなる進化に期待したい。
※本記事は2021年6月にインタビューを行った際の内容です
