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“香りの言語化”で購買体験は進化する

 購買において「香り」が重要なファクターとなる商材は数多く存在する。しかし、香りは共通言語化が困難で、たとえば「すっきりした香り」を望む買い手に対し、売り手が求められている香りそのものを提示するのは至難の業だ。こうした課題を解決するため開発されたのが、“香りの言語化”を可能にするAIシステム「KAORIUM」だ。“香りの言語化”が購買体験に及ぼす可能性を探るため、KAORIUMを提供するSCENTMATIC社代表の栗栖俊治氏に話を聞いた。

電子版(誌面)はこちらから閲覧できます。

※本記事は、2021年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』69号に掲載したものです。

見えない“香り”を言葉で可視化

SCENTMATIC株式会社 代表取締役社長 栗栖俊治氏

 慶応義塾大学大学院を卒業後、NTTドコモにて10年間、携帯電話やスマートフォン向け新サービス・新機能の企画開発に従事し、iコンシェル、しゃべってコンシェル、音声認識機能、GPS機能等のプロジェクトリーダーを担当。2015年より3年間、NTTドコモ・ベンチャーズシリコンバレー支店へ出向。数々のシリコンバレースタートアップを発掘し、NTTドコモ本社事業部門とスタートアップとの協業実現や出資に成功。2018年、日本へ帰国。本プロジェクトの事業構想に着手、現在に至る。

 香水や部屋用のディフューザーはもとより、日本酒やワイン、スポーツ・睡眠といったメンタリングに関わる商材など、購買において「香り」が重要なファクターとなる分野は数多く存在する。しかし、香りは特に個人によって嗜好が細分化しており、かつ共通言語化が至極困難なものでもある。そのため、たとえば「すっきりした香り」を求める買い手に対し、売り手が求める香りそのものを提示するのは至難の業だろう。

 また、ECで商品を販売する際には買い手に香りを体験させることができないため、製品写真やページビジュアル、テキスト表現からどのような香りなのかを想像させる必要がある。ここでも、発信側と受け取る側のイメージを完全に合致させるのは困難だといえよう。

 こうした従来は困難であった“香りの言語化”を可能にするために生まれたのが、AIシステム「KAORIUM(カオリウム)」だ。KAORIUMは、香りのデジタライゼーションによって新たな顧客体験を提案するSCENTMATIC(セントマティック)社が開発したAIシステムで、曖昧で捉えにくい香りの印象を言葉で可視化したり、ある言葉に紐づく香りを導き出したりすることを可能にする。

見えない香りを言葉で可視化する
見えない香りを言葉で可視化する

 KAORIUMのシステムは、オリジナルの筐体、ないしはタブレットやスマートフォンなどで操作できるようになっている。システムが消費者にもたらす効果については「嗅覚の分子メカニズム」研究の権威である、東京大学大学院農学生命科学研究所の東原和成教授と共同研究を行っているという。

消費者が求める香りを探り当てることが可能に

 “香りの言語化”は、香りの開発はもとより、消費者が求める香りを売り手が探りあてることにも活用できる。

 KAORIUMを使って特定の香りを選ぶと、その印象が言葉で可視化される。特定の香りを筐体の上に据えると、「すっきり」「透明感」「フレッシュ」など、その香りに該当し得る多様な感性表現ワードが視覚的に広がり、それを画面で選択していくことで、対話するもの同士の“香り言語のすり合わせ”ができるのだ。

言葉を起点に好みの香りを探索する
言葉を起点に好みの香りを探索する

 たとえば、香水店に香水を買い求めに来た消費者が「爽やかな香りを探している」と店舗スタッフに告げるとする。スタッフからは「爽やか」に該当する香りがいくつか提示され、それらの香りには“感性言葉”(「スッキリ」「爽快」「クール」など)が紐づいている。実際に顧客は複数の香りを嗅いでみて、顧客が好む香りの系統が“感性言葉”で示すところの「クール」な香りに該当することを両者が共通認識する。

 その後は、消費者が求めていた「爽やかさ」の中でも「クール」に該当する香りに絞って、より精緻に消費者が気に入るだろう香り候補を提示できる、という具合である。

 また、言葉を起点に好みの香りを探索することも可能だ。たとえば「清楚」という言葉を選ぶと、その印象に紐づく複数の香り候補が提示される。提示された香りを嗅ぎ比べ、この香りこそが「清楚」だと感じたものを選択することで、「清楚」に紐づく香りが特定される。これを繰り返すことで“香りを表現するワード”と“実際の香り”の感覚が精緻になっていくという仕組みだ。

 消費者が漠然と「清楚なイメージの香水が欲しい」と感じているときに、消費者自身の感性で「清楚」と感じる香りがどういう系統のものかが売り手にも共有できる。売り手側は消費者の感性で「清楚」と感じる香りが明確に認識できるため、より正確に類似した、消費者が好みそうな系統の香りを提案することができる。

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この記事の著者

笹山 真琴(ササヤマ マコト)

テキスト入る

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/09/28 08:45 https://markezine.jp/article/detail/37323

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