②面接中盤は、ワンパターンのトークから脱すること
いざオンライン面接が始まると、様々な場面において「なかなか伝わらない」と感じる方が多いようです。それは、オフィスでの対面面接の際は当たり前だった世間話や「もうすっかり秋ですね……」などの何気ない一言、自然な会話から得られる情報が少なく、面接中の質疑もワンパターン化してしまう傾向にあるからです。「心が通う面接」を実現するには、面接官が本当に求めているリアルニーズを突き止め、ワンパターンなトークから脱することが必要なのです。
ビジュアルの準備
ここでのビジュアルとは、レジュメやスライドなどの目に見える資料のことを指しています。最近は、リモートワークの環境上、印刷したレジュメもあまり見かけなくなってきました。しかし、オンライン面接であっても、面接官がレジュメを印刷し手元に準備している場合は、話しながら「レジュメの3ページ目の実績欄にも記載をしておりますが……」と促し、レジュメからも情報を読み取ってもらうことをお勧めします。
いかにトークに自信があってもトークだけで乗り切ろうとせず、面接官の集中力が下がらないように、ビジュアルに助けてもらうことが大切です。さらに、特に企業側からの要望がなくとも、過去の実績や提案などを1枚のスライドにまとめて準備し、ショートプレゼンのようにスクリーンで共有してお話をすることも「攻めの面接」の一手です。
過去に面接を終えた転職希望者からのフィードバックを聞くと、トークのみで乗り切る面接よりも、図などのビジュアルを使用した面接のほうが、その企業への志望度の高さを感じ取ってもらいやすい傾向にあるようです。
プッシュ型<プル型のトークを
繰り返しになりますが、トークや回答=「プッシュ」(押し切ること)だけで終わる面接ではなく、心が通う面接を目指しましょう。双方向のコミュニケーションを生むために、自分の知識・考え方・興味度合いの「アピール」につながる質問=「プル」(引き出すこと)をするのです。
単に答えがわからないから質問をするのではなく、あくまでも、あなたの興味度合いの高さを表現できる質問を考えて、面接官に問いかけてみましょう。たとえば、「新しい事業のプレスリリースを拝見し、わたしの経験にも近いので興味を持ちました。新規顧客の獲得という目的以外では、どのような意図や中長期的な目的があるのでしょうか」など、「はい・いいえ」以外の回答に発展するような、オープンクエッションを準備するとよいです。
さらに、面接の後半では企業や事業だけではなく、面接官の「パーソナルなこと」への質問も恐れる必要はありません。「貴社への入社を決断された理由」もしくは「この入社前・後のギャップ」などにも興味があれば、素直に質問してみましょう。恐らく、ここでも面接官の個人的な考えや見解を引き出すことができるでしょう。
大事なのは、面接官自身や考え方に「興味」を持つこと。こうした姿勢を見せながら、「なるほど!」「確かに!」という言葉が飛び交えば、心理的距離がぐんと近づいた証拠です。面接官の考えや見解に対してあなたが共感できる部分を表現することで、きちんと自身のアピールにつなげることができ、「心が通う面接」が実現します。
③面接終盤で「決め手」を作るには?
どんなに良い流れで面接を終えても、面接官が採用の合否を即決できないことがあります。その理由の1つは、「決め手」に欠けるという理由です。特にここまで説明したように、オンラインでは面接の内容がワンパターンになりがちなため、どうしてもこの候補者が良い!と気持ちが固まるまでに時間を要してしまう傾向があります。もちろん面接官に即決してもらうことがすべてではありませんが、以下の手段を活用しながら、お互いが同じ気持ちになるようステップを踏むことが重要です。
面接後半に効果があるリキャップ
面接も後半に差し掛かり、あなたの志望度が高まった場合は、合格をもらうための「決め手」を作ることが重要です。そのために必要なのは、リキャップです。リキャップとは「要約」という意味で、面接全体を思い返し、ハイライトとしていくつかの重要ポイントを要約することです。
既に面接中に伝えた「企業側が求めるスキル・経験に対して、どう即戦力となり貢献ができるか」を改めて話すことで、面接の最後にもアピールポイントを念押しできます。さらに、あなたの志望度がどれだけ高まったのか、感謝の気持ちを伝えることもできるでしょう。要するに、なんとなく面接を終えないように、最後まで攻めの姿勢を意識し、「決め手」をあなたが意図的に作り出すのです。