活躍できるか否かは、入社前から決まっている?
本連載は、今回で最終回を迎えます。ここまでコロナ禍の転職市場や、キャリアプランの作り方、実際のオンライン面接のテクニックなどについて解説してきました。今回は、いよいよ新しく入社する企業で活躍するために必要なステップをご紹介します。
そもそも、転職の目的とは「キャリアプランの達成に一歩近づくこと」であるということをお話してきました。この先、あなたはキャリアを構築する中で、何度か面接を経験し、必ず自身の実績(特に、どう活躍したのか)について多くの質問を受けることになります。そして、その度に過去の経験を思い返し、面接官にアピールしていくことが求められます。つまり、「転職」と「入社後の活躍」は切っても切れない関係なのです。
一方で、入社後の活躍に必要なのは「入社後に実力発揮をすること」だと考える方がほとんどでしょう。しかし、その前提として「キャリアプランのイメージをもって転職活動をすること」や「求めている理想の条件で入社ができること」が重要となります。今回のコラムでは、転職先が決まる前の段階で行うべき企業との情報共有の方法についても解説しますので、現在転職活動中もしくは、これから転職活動をスタートする方にとって一助となれば幸いです。
ステップ1.転職活動中にすべきこと(一次面接~最終面接のタイミング)
まず、「入社後の活躍」のために、あなたが転職活動中にできることは何でしょう。
簡潔に言うと、活躍に向けて「正しいスタート地点」に立つための情報確認を徹底することです。具体的には、あなたが求めていること/目指していることを正確に企業に伝えることから始めましょう。これが抜けてしまうと、最終面接を終えた時点で、企業とあなたの間に、期待値や採用条件面においてギャップが生まれてしまいます。
条件面で実例を出すと、オファーレター(内定通知書・労働条件通知書)に記載される年収条件が確定した後に少額の変更をリクエストしたところ、社内承認が下りず、希望が通らなかったというケースがありました。よって、オファーレターを提示される前の段階で、あなたの希望を正確に伝えることが重要なのです。
(A)求めているオファー内容例:希望年収
たとえば、「年収1,000万円が最低条件」と強気で伝えた場合、企業として採用予算がその値に達しない場合は、あなたの採用を諦めてしまう可能性があります。そのため、あくまでも1,000万円というのは希望年収であると伝え、「他の条件面を加味して総合的に検討したい」と伝える事をお勧めします。
一方で、あなたのこだわりもしっかり伝えましょう。最低条件として、マネージャーポジション以上の職位ではないと転職を希望しない場合は、はっきりとあなたの求めている条件(こだわり)を伝えるべきです。
(B)目指していること例:役割と責任
企業側は面接を通して候補者の経験値を評価し、候補者が求める条件などを考慮しながら、役割や職責を確定させる場合が多々あります。また、「既存の事業部だけではなく、現在計画している新規事業もマネージしたい」という希望や、「20名以上のスタッフマネージメントができるポジションを目指している」など具体的なイメージを伝えることで、仮に入社時に条件が整わなかったとしても、そのプランが将来的に実現可能なのかを話し合う機会が生まれるでしょう。
この(A)と(B)に関しては、極めて重要な条件であり、転職エージェント経由で応募している場合は、面接時に正しい情報が伝わっているか、エージェントを通して確認することで「ニュアンスの違い」から発生するミスコミュニケーションを防ぐことができます。
(C) キャリア実現に必要なこと例:評価制度
あなたの希望を伝えるだけではなく、企業の評価制度や社内異動制度を確認することも必要です。たとえば、現在どのような制度が導入されているのか、昇格や降格、異動の条件などもヒアリングし、あなたのキャリアプランが実現可能かどうかを判断しましょう。
同時に過去の実績面の確認として、この評価制度を通して、どのような社員が昇格されたのかを確認すると、制度の利用状況も理解できます。もし転職エージェントを通して転職活動をしている場合は、可能な範囲で情報開示をリクエストすることをお勧めします。