データ活用に見える「2つの課題」
——昨今ではマーケティング・オートメーション(以下MA)が普及し、属性データを使ったレコメンドも一般化しつつありますが、一方で従来の施策に限界を感じる声も多くあります。現状のデータ活用にはどのような課題があるのでしょうか。
西田:まず1つ目の課題として、ツール間で使うデータが縦割りになっているケースが挙げられます。
西田:たとえばMAを使った施策であれば、メールの開封やリンクのクリックといった行動データを基に施策が行われてきました。またレコメンドエンジンでは、男女や年齢などの属性データに応じて情報を出し分けるということが行われています。しかし、そうした行動データや属性データを連携して活用するということはあまりされていませんでした。
2つ目の課題としては、データの中でもまだまだ活用しきれていないデータがあるという点が挙げられます。年代や性別といったデモグラ的なデータの活用は一般化しているものの、たとえばアパレルのサイトで「このユーザーはこの服を買いました」という過去の購買情報は持っているにも関わらず、そこに基づくユーザーの傾向まで捉えて活用し、施策に落とし込めている例は少ないのではないかと思います。
顧客を理解するためには、こうした行動データと属性データを掛け合わせて、横串を通して見ていく必要があります。
提供すべき顧客体験からコミュニケーションを逆算
——それらの課題を踏まえ、貴社ではデータ活用や顧客とのコミュニケーションにおいて何が重要だとお考えでしょうか。
西田:まずデータ活用をしてマーケティングを行う上での大前提として、顧客体験を起点に考えるということが重要です。
西田:つまり事業者に求められるのは、顧客がどのような体験を望んでいるのかというところから逆引きし、そのためにはどのようなシステムやデータが必要となるのかを整理して、顧客との理想的なコミュニケーションとは何かを実現可能性・妥当性を持った上で導き出すことです。
データ活用には4ステップが必要で、1つ目のステップはデータがきちんと溜まる基盤を構築すること、言うなれば“溜まる化”です。そして2つ目が、それらのデータを“見える化”すること。どこに何のデータがあるかをマーケティング担当者が見えていないと、施策へ落とし込むステップが踏めません。
3つ目は、“わかる化”。目的に向けて、どういう施策に落とし込むべきかをしっかり担当者がわかっていることが大切です。そして4つ目が“できる化”。MAやレコメンドエンジンなど横串を通して活用し、チャネルを跨いだ連続性・リアルタイム性のあるコミュニケーションにデータを活かせるようにします。
——そうしたデータ活用のためには、当然ツールも重要になりますよね。
西田:はい、顧客に関するデータを一気通貫してつなげる仕組みが必要となります。先述した行動データや属性データなどがそれぞれバラバラのソリューションで取得されているとそれらを連携して活用する難易度は高くなるため、プラットフォームを揃えることが望ましいです。
Interaction Studioをはじめとした、セールスフォース・ドットコムさんが提供する製品で統一すれば、そうしたデータの集約、連携が可能になります。