行動の「文脈」を捉えたパーソナライズが体験を底上げ
——「Interaction Studio」とはどういったものでしょうか。
松本:顧客一人ひとりをきちんと理解し、パーソナライズした体験を届けることを実現するツールです。
松本:弊社が毎年調査・発表しているマーケティングレポートで、65%の消費者が自分を理解してくれていると感じていない企業に対してブランドスイッチをしてしまい、91%の消費者が素晴らしいサービス体験をしたと思う企業に対しては購買や利用を継続するという調査結果が得られました(出典:セールスフォース・ドットコム「コネクテッドカスタマーの最新事情(第4版)」2020年10月)。
また、コロナ禍で消費者の生活様式が大きく変わり、企業への顧客理解の期待値はますます高まってきています。企業にとっては、デジタル接点とリアル接点の双方をつなげて消費者の今の心理を捉え、パーソナライズした体験を提供することが急務になっていると言えます。
——このInteraction Studioは、一般的なMAとはどのような違いがあり、何を実現できるのでしょうか。
松本:Marketing Cloudで実施している施策をさらに強化する役割を担っています。顧客の今を理解し、リアルタイムでパーソナライズしてターゲットに向けたシナリオを作成し、瞬時にさまざまなチャネルでメッセージを届けることができます。
リアルタイム性に関しては、顧客の行動や属性を踏まえた上で、ミリ秒単位の高速処理を行ってMAのシナリオに情報を連携し、メールやSNS、LINEなどクロスチャネルのデジタル接点を横断的にカバーします。
——機能面ではどのような強みを持ちますか。
松本:データ統合に関しては、たとえば「Webサイトを訪問した」「アプリを起動した」「店舗でチェックインした」といったそれぞれのアクションをクロスデバイスで瞬時にIDで統合する機能があります。この情報から、時系列で顧客の傾向分析、今の目的や興味をきちんと捉えて高速処理を行います。
松本:また、SQLを書く必要がないため、マーケターが管理画面上でとても簡便にセグメントを作成できます。作成条件の行動データは「特定のWebページを見た」「サイトを閉じた」といった表層的なものだけでなく、その人が見ているコンテンツや商品に意味づけされたメタ情報を取得することで顧客の心理を理解し、それに基づいてセグメンテーションを行えるのが大きなポイントです。
松本:このように、顧客の今の目的や興味を踏まえた上で、その人に寄り添ったメッセージを瞬時に出し、Webの接客やレコメンデーションでパーソナライズを実現するという機能をセットで提供しています。
チャネル横断の顧客理解で「脱・一期一会」を実現
——Interaction Studioの導入により、具体的にどのような施策が可能になるのでしょうか。
西田:今まさに構築している金融系企業の施策では、セールスフォースの製品群の中からInteraction StudioとMarketing Cloud、Service Cloudを組み合わせることで、一期一会にしない顧客体験の提供を行っています。
従来は、コンタクトセンターに電話をしてきた顧客に回答し、その履歴をCRMに残していましたが、それらのデータは活用しておらず、顧客とのやりとりは一期一会で終わっていました。デジタル上では、メールを送信したら開封・未開封かによって再送するなどの施策は行ってきましたが、コンタクトセンターに電話をしてきた人のデジタルでのリアクションを紐づけるということはしてきませんでした。
それをInteraction StudioとService Cloudなどを組み合わせて施策を設計していくと、たとえば「メールを開封し金融商材に興味を持ち、電話をかけて問い合わせた」という顧客の行動や心理がつながって見えてきて、それにより顧客の悩みや求めることの解像度が上がってきます。そして、たとえば問い合わせから1週間経ってもまだその金融商材を買っていない場合にはメールなどでオススメの金融商品を提案するといったコミュニケーションをすることが可能になります。