圧倒的な認知獲得のため、テレビCMに挑戦
認知施策が少しずつ効果を出し始めたタイミングで、同社は新たな施策としてテレビCMへのチャレンジを決めた。
当時、純粋想起率(認知率)は3.55%から5.1%に上昇していた。しかし「あなたの知っているマーケティングオートメーションツールはありますか」という質問では、「SATORI」はまだ1位に届いていなかった。
「決裁・決済者への圧倒的な認知が必要であり、まずは国産ツールとして絶対的な存在感をつくることが大切だと改めて認識しました」(相原氏)
「SATORI」だけでなくMAツール自体をまだ知らない人に対する認知や理解の拡大を目指し、テレビCMに着手した同社。潜在層へのアプローチとなるため、担当者がMAツールを自分事化できるよう工夫を凝らす必要があった。
「私自身は多少テレビCMの経験がありましたが、会社としてはゼロからチャレンジすることや、BtoBのCM経験がなかったため、独特の難しさを感じました。広告代理店さんと議論を重ね、新たなマスプロモーション用の調査データを収集し、テレビCMの打ち方を考えていきました」(相原氏)
「SATORI」の売りである「リードジェネレーションに強い」「カスタマーサクセスプログラム」などを伝えるため、「顧客を連れてくる」「優良顧客を探し出す」「成果が出るまで並走する」ことを強く打ち出したクリエイティブを制作したという。
各施策を連動させ、広告効果を最大限に発揮する
女優の上戸彩氏を起用したテレビCMは、2020年初頭に3週間の計画で放映された。メインは認知度の向上だったがそれだけでは事後振り返り、次に活かすことが難しいため、商談形成と受注に貢献するというKGIを設定。KPIとしたのは商談創出率だ。効果測定の対象期間はテレビCMオンエア前の6週間とオンエア後の6週間の商談創出率を比較した。同社サービスのリードタイムを考慮したからである。
並行して、マーケティング、セールス部門との連携も行った。マーケティング部門では、自社ブランドイベント「標(しるべ)」という名前のブランドイベント開催やDM送付により、初回接点の創出を狙った。セールス部門はテレビCMをフックに架電を行うことで、商談数を増加させた。
また、その後のテレビCMの放映期間に合わせ、1ヵ月間タクシーCMも実施したところ、タクシーを利用した人の74%が「SATORI」のタクシーCMに触れたというアンケート回答を得た。さらに、「利用検討した」が17.1%、「社内で話題にした」が15.3%、「利用した」が13.5%という結果だった。
これらの連携施策の結果として、放映エリアにおけるテレビCM期間中のインサイドセールス商談創出率は1.95倍と、倍近い商談獲得を果たすことに成功。その後も複数回にわたりテレビCM出稿を行っている。
CM休閑期は、認知の残存効果を活かしメールマガジンで低購買層を刺激したり、「SATORI」のWebサイトで顧客の行動履歴を元にポップアップの出し分けを行いながら、アクセス内容を分析し、次の打ち手を考える材料にしているという。