Web接客とは“フリクション=顧客がつまずくもの”の解消
ECサイトを持つアパレルや化粧品、Web申し込みや問い合わせの発生する証券、銀行、教育など様々な企業の支援を手がけるSprocket。同社は多様なサービスを提供しているが、その中でもWeb接客によってユーザーの行動に変化を促し、コンバージョンを最適化することで大きな成果を上げている。
このWeb接客とは、パーソナライゼーションとA/Bテスト、行動分析の3つを組み合わせて行っていくこと。近しいサービスは他にもたくさんあるが、効果的な施策に落とし込むためのシナリオ作りの秀逸さで、同社は成果を上げてきたという。
「弊社ではユーザーがWebサイトを利用する上でつまずいてしまう要素を “フリクション”と呼んでいます。フリクションが積み重なると離脱要因となるため、いかにそれらをなくしていくかが重要です。また、こうしたフリクションが起きる背景を、セルフサービス問題と呼んでいます」(深田氏)
Webサイト運営者とユーザーにとっての当たり前には、意外と乖離がある。たとえば、ハンバーガーメニューと呼ばれる三本線のアイコンはWebサイトの表現として一般的だが、知らない人も多い。深田氏は「特にここ1~2年はコロナ禍によってWebサイトに不慣れなユーザーの利用も増えてきた」と語り、コロナ禍でフリクションの増加が起きていることを指摘した。
Sprocketでは、ECサイトのハンバーガーメニューに解説の吹き出しを付けることで、購入完了の改善率を125%にアップさせたという。
また、デジタルネイティブと呼ばれる世代だからこそのセルフサービス問題もある。彼らは、TikTokやYouTubeなど自動的にコンテンツがレコメンドされるサービスをよく利用しているため、Webサイトの利用に対しても受動的になっている場合がある。文字を読んだり、コンテンツを能動的に選んだりするのが面倒くさいと感じることから、離脱につながってしまうのだ。
このような課題に対し深田氏は「実店舗の接客を参考にするのが重要」だと語る。
「実店舗では、店員がお客様の様子を見て『何かお困りですか?』といった質問や案内をすることで、お客様で自己解決できないことに対処しています。Webサイトでも積極的にユーザーとコミュニケーションをとることで、問題を解消していくことが本来の接客の価値ではないかと思います」(深田氏)
たとえば、同社が手がけた某カード会社のリボ払いサービスを訴求する事例では、利用明細を見に来たユーザーのうち、リボ払いに未入会でその月の利用額が多い人に向けて、「リボ払いのサービスはご存知ですか?」という案内を表示した。
また同社は、リボ払いに関する詳細情報がある場所を探さず見つけられるように設計し、離脱を防いだという。この施策によって、リボ払いの登録率が2.5倍まで増加したという。
よくあるフリクション1:どこへ行けばいいかわからない
では、様々なフリクションの中から、どれを重点的に対処すればいいのか。深田氏はそのヒントとして、よくあるフリクションの例を6つ挙げた。
1つ目は、ユーザーが「どこへ行っていいのかわからない」というもので、トップページで起きやすいフリクションだ。「選択肢が多すぎて見る気にならない」「自身の頭の中にあるワードと違う単語が使われていて、見当たらない」と離脱してしまう。そうしたユーザーに対して深田氏は、訪問の理由としていくつか選択肢を用意して聞く方法を紹介した。
「この選択肢は全員に表示するわけではなく、サイト上でしばらく動かないなど、迷っていると思われるタイミングを見計らって表示します。実際に導入した事例では、購入完了の改善率が116%になるという効果が出ました」(深田氏)
よくあるフリクション2:どんなサービスかわからない
よくあるフリクションの2つ目は、「どんなサービスかわからない」というもの。これもやはりトップページで起こりやすい。ユーザーにとってこれまで買ったことや試したことのない商品・サービスであったり、名前は聞いたことがあってもよく知らなかったりといったことが原因となる。
この場合は、動画などサービスの内容を簡単に説明できるコンテンツを用意する対応がおすすめだという。
「初訪問のユーザーがサイト上で数秒間動きがない場合には何かわからないのかもしれないと判断し、トップページで説明動画を見せるようにします。実際にこの施策を行ったサイトでは、購入完了改善率が124%となりました」(深田氏)
よくあるフリクション3:ページが縦長すぎて内容が覚えられない
よくあるフリクションの3つ目は、LPで起こりがちな「ページが縦長すぎて内容が覚えられない」というもの。広告からランディングしたものの、スクロールして読み進めていくうちに、情報量が多すぎて何の話かわからなくなったり、途中から理解できなくなったりして離脱してしまう。そうした場合には、ページ内回遊で内容をおさらいしてもらうという方法がある。
「一定時間以上動きがない頃合いを見計らって、うまく声がけをすることがポイントです。そして、要所要所にボタンを用意して次のコンテンツ位置へと飛べるようにすることで、回遊を促します。この施策を行った事例では、スクロールして最後までたどり着くユーザーが106%と増加しました」(深田氏)
よくあるフリクション4:商材の存在に気づいていない
4つ目は、「商材の存在に気づいていない」というフリクション。ユーザーがその商材に興味を持っていなかったり、前述したリボ払いサービスのように、知っていれば必要だと思うものなのに自身に必要だと思っていなかったりする場合に、声がけをしていく。これも店員が「こういうサービスもありますが、いかがですか?」「今ならこれに加入するとお得ですよ」と声がけするのと同様だ。
「たとえばクレジットカード会社の事例では、今入会すると2,000円値引きになりますよと声がけをすることで、カードの入会を促進しました。こういったものは、購入ボタンを押したりカートに来たりしたときに訴求することで、『この機会に申し込んでおこうかな』と思ってもらいやすくなります。この事例でも、カード申し込み完了の改善率が170%と大きくリフトアップできました」(深田氏)
よくあるフリクション5:付帯情報をチェックしていない
よくあるフリクションの5つ目は、「付帯情報をチェックしていない」というもの。たとえばECサイトではサイズやスペック、他のユーザーのレビュー、コーディネート提案など、ユーザーが購入する意思決定の材料となるような周辺情報も掲載していることが多い。しかし、用意している付帯情報を見つけられなかったり面倒だと感じられたりして、じっくり見てもらえるとは限らない。そんな場合には、必要な情報を先回りして伝えることで、このフリクションを潰すことができる。
「たとえば、まだサイズ情報を閲覧していないユーザーに向けて、『ここにサイズの情報がありますよ』『このサイトではサイズ解説のページが別にありますよ』という吹き出しやリンクボタンを表示することで、自身が着用できるか理解できるようにしました。購入検討中のユーザーに当てていくことで、購入完了改善率が上がりやすいシナリオです」(深田氏)
よくあるフリクション6:コンバージョンするにあたって不安が解消できない
そして、6つ目のよくあるフリクションは、「コンバージョンするにあたって不安が解消できない」というもの。たとえば、カートに商品を入れていざ購入手続きをしようというときに、『本当にこの商品を買って大丈夫かな?』といった不安が生じるケースもある。その際に一度購入画面を離れ、FAQページなど不安を解消するコンテンツを見つけてまた戻ってくるというのは面倒で、離脱につながる。
そうならぬよう、深田氏は「カートを表示したまま一定時間動きのないユーザーに、『購入にあたり何か不安な点はありますか?』とその場で声がけをしてみるのが有効」だとポイントを解説した。
「ポップアップなどページ遷移させない方法で表示し、その場で不安を解消してもらうことが大切です。『これなら大丈夫そうだ』と思ってもらうことで、安心してコンバージョンしてもらいやすくなります」(深田氏)
このように様々なシナリオでフリクションを解消していった結果、Sprocketでは90%以上のクライアントのコンバージョンを改善することに成功しているという。
カスタマーサクセスの充実でリソース不足にも対応
セッションの中で深田氏は、6つのフリクション以外でSprocketが支援し成果を上げたシナリオをいくつか紹介した。まず「カウントダウン」という方法。時限クーポンやタイムセールが終わるまでの残り時間を表示することで、ユーザーが期限に気づかないことを防いだり、お得だから今買おうと思わせたりすることで購入を促進させる。
そして少し変わったアプローチとして、「ゲーム性」を持たせる方法も紹介。たとえば、クーポンは頻繁に配りすぎると特別感が薄れ、徐々に利用率が下がっていく。その防止のために、おみくじなどのゲームと組み合わせることで、楽しみながらクーポンの利用率と購入率を上げられるという。
ここまで、Sprocketが提供するWeb接客プラットフォームを活用し、顧客のフリクションを取り除く方法について解説してきた。しかし、同社のツールをはじめ、Web接客に関するツールを導入してもうまく運用に乗らずとん挫してしまう、もしくは「運用するリソースがない」と導入を躊躇してしまう企業も多いだろう。
しかし、セッションの最後に深田氏はSprocketのカスタマーサクセスの充実を挙げ、そのような課題にも対応できるとアピールした。
「これまでA/Bテストを3万回以上繰り返してきました。そこで培われた経験をもとに、確実に成果を出すサービスを提供していることが、弊社の強みです」(深田氏)
今回のセッションを通じて、Sprocketが各フリクションに対してコンバージョンにつながる施策を行うノウハウと事例があることが明らかになった。同社では、Web接客だけでなく、パーソナライゼーションや様々な外部サービスとの連携など、コンバージョン最適化を実現するための様々な機能を提供している。
Web上にコンバージョンポイントのある企業にとって、Webサイト上の顧客体験の改善は必須と言える。ここで紹介した6つのフリクションを、自社サイトに当てはめて考えてみるのもいいだろう。「どこに自社のフリクションがあるのかわからない」「フリクションは見えているが、対策ができていない」という企業は、ぜひSprocketに相談してみてはいかがだろうか。
Webサイトのコンバージョン改善に課題を感じている方におすすめ!
Webサイトの平均CVR改善148%の実績のある、Web接客サービス「Sprocket」の資料はサービス案内資料請求ページよりダウンロードいただけます。同資料内には花王グループのエキップ社、全6社の導入事例集もございます。