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『ファン』のインサイトをいかに捉えるか~企業とIP、ファンの関係を考える~

社員の「好き」で顧客とつながる、フェリシモの推し色ブランド「OSYAIRO」誕生ストーリー


「欲しいものは自分たちで作る」がOSYAIRO

MZ:続いて、OSYAIROの商品開発を教えてください。オリジナリティあふれるアイテムが登場していますが、どのようにアイデアを見つけていますか。

山川:私たち自身の推し活にまつわる悩みや願望がベースです。たとえば「遠征バッグ」は、観劇によく行くメンバーの「こんな鞄があったら便利だけど、売ってないので作りたい」から始まりました。

 とはいえニーズも確認したく、フェリシモのお客さまにランダムでアンケートをお送りしました。インセンティブも付かない中、即日で600件以上のお声をいただき、本当にびっくりしました。この熱量にも後押しされ、商品化されています。

遠征バッグ
遠征バッグ

山川:アイドルのライブに欠かせない応援グッズのジャンボうちわが入る「うちわバッグ」の反響も大きかったです。「推し色で買いたい」「こういうのを待ってた!」のお声を、SNSでたくさん見かけました。フェリシモへのお問い合わせも、一般的なバッグに比べてかなり多かったと聞いています。こちらも、「ジャンボうちわが柄まですっぽり入るバッグってなかなかないよね」という自分たちの実体験から企画がスタートしています。

MZ:推し色をテーマにされていますが、商品開発のとき、採用する色はどのように決めていますか?

山川:先日発売した内側にフォトポケットが付いた、いつでも自然に推しを眺められる文庫本&手帳カバーは、お客さまにTwitterでアンケートを採り、決定に参加していただきました。

 どの色でアイテムを作るかは、本当に悩ましいところです。赤や青など推し色に使われやすい色がある反面、推し色も多様化しています。どのアイテムも、みなさまの推し色に合わせて作りたいのですが、基本は使いたい素材の既存の色から選ぶため、物理的に難しくて。

 また、OSYAIROのコンセプトは、ふつうに毎日使えることです。「推し色であればいい」のではなく、おしゃれでかわいい色か、アイテムに合っているか、普段から持ちやすい色か?なども考えています。

「私」も一緒に「みんな」で楽しむ、推しマーケティングとの違い

MZ:OSYAIROでは、推し色アイテムに留まらないアイテムも取り扱っています。アクスタ(アクリルスタンド)ケースは、どのような背景から企画されたのでしょうか。

山川:アクスタケースは、SNSでアクスタを持ち歩く方が多いことに気づいて開発しました。元々アクスタは飾るグッズで、私も飾っているタイプなのですが、一方で今では持ち歩き、カフェなどで一緒に撮影するアイテムにもなっています。でも、こっそり持ち歩いて眺めたい方もいらっしゃるでしょうし、写真を撮る際もあからさまに取り出すのはちょっと恥ずかしいと思う方もいらっしゃると思います。「だったら、パッと見、アクスタとはわからない状態で持ち歩けるケースはどうだろうか?」と考え、アクスタケースが生まれました。大人可愛く、ちょっとクスッとできるところがポイントです。

 アクスタケースも色々な所から反応をいただきました。「もっと大きいケースが欲しかった」というものもあり、私たちが想定していた以上にアクスタのサイズは様々だと知りました。この点は、次回につなげたいです。

MZ:SNSからもインサイトを見つけて開発された点が印象的です。

山川:OSYAIROは、オタ活部メンバーの願望が起点ですが、推し活に励む同志のみなさまが欲しいと思うアイテムを作り、私たちも含めてみんなで楽しみたい気持ちが根底にあります。推し活をしている人はSNSの活用も活発です。SNSでインサイトを拾う行動も、同じ推し活が好きな「みんな」はどう思っているんだろう?と覗きに行く感覚です。ですので、一般的なキャラクターIPコラボなどのいわゆる推しマーケティングでのソーシャルリスニングとは 少しアプローチ方法が違うかもしれません。

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ファンは多様。踏み込みすぎないコミュニケーションを大切に

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/13 12:02 https://markezine.jp/article/detail/37771

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