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ヒットの裏にマーケあり

書道家・武田双雲「PDCAのPはいらない」成功へのプロセスに重要なのは臨界点の見極めと多動力

成功に必要なのは暗闇にダイブできる多動力

高橋:需要と供給で決まると言っても、ただ自由に書いているだけではそこまでの知名度もオファーも得られないですよね。作品やご自身を世に広めるためのブランディングも必要だと思うのですが、どのようにされたんですか?

武田:実は僕、独立したときめちゃくちゃ字が下手だったんですよ。書道家としては最低レベルで、ばかにされたし、批判もすごかった。でも、プライドがなかったからか「そうだよね」って思っちゃって、下手だからできることを考えたらこうなったんです(笑)。

 全国区になったのは書道教室でやっていた「リレー書道」が大きいですね。チーム戦で、一人一画ずつ書いて書を完成させるというもので、それがテレビ番組で紹介されて、その番組の視聴率ナンバーワンを取りました。

 ただこれも、自分に技術も知識も経験もなくて、生徒さんが集まってもやることがなかったのがきっかけでした。上手に指導ができないから、盛り上げようと思ってゲームをやったという(笑)。

高橋 飛翔(たかはし・ひしょう)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。

 ナイルにて、累計1,500社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

高橋:その発想がすごいですよね!多動力もあるし、プロセスがスタートアップと同じじゃないですか(笑)。起業や独立ってどこかで暗闇にダイブしなきゃいけない瞬間があって、躊躇する方も多いんですけど、双雲さんはそこで踏み切れたことが大きかったんだろうなって感じます。

プランなくDCAサイクルを回し続ける

武田:好奇心のほうが勝ったんです(笑)。僕は実験が大好きで、どうなるかわからないことはとりあえずやってみるタイプなんです。それで良かったほうに行く、みたいな感じ。起業家に似ているかもしれないですね。

高橋:似ていますね。PDCAを回していく感じ。

武田:プランもないからDCAですね。起業家と違うのは、工場も従業員もなく自分一人で書くから「P」がいらないんですよ。だから、ひたすらDCAを回しています(笑)。

高橋:いいですね、DCA(笑)。テクノロジーの分野でも、技術の進歩で「P」にあたる部分がどんどん小さくなっているんですよ。コスト面も下がってきているし、Pを考える暇があったらDしてCAするといった世界観に近づいていってるんですよね。そういう意味で、多動力はすごく大切なんだって双雲さんのお話を伺って改めて思いました。

マーケあり!ポイント

・双雲さんは「書道家なのに字が下手」「書道教室だけど指導歴なし」などの一般的には不利な要素を逆手に取って、書道教室における新しい切り口「リレー書道」を作り出しました。このプログラムは、自らの字の巧拙を気にする書道家からは生まれえないものであり、書道家としてのルールの臨界点に挑戦した結果生まれたものと言っても過言ではありません。

・また、「何が受け入れられるかわからないからこそ、とりあえずやってみる」という姿勢は、ヒットの可能性を明確に高めています。ビジネスパーソンにはおなじみのPDCAも、双雲さんからするとPのないDCA。プランニングはまずやってみるという姿勢で慎重になるということがない。だからこそ、挑戦している手数だけ、世の中に受け入れられる確率を上げることができているのだと感じました。

・ビジネスの世界においてもテクノロジーの進化により、事業を作る・サービスを作ることの初期コストは低下を続けています。「やってみて、ダメだったら別の挑戦に切り替えればいい」という姿勢で、慎重になりすぎず挑戦の手数を増やしていくことが、ビジネスの成功につながる時代になってきていると言えるでしょう。

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武田双雲が考える、書道とアートの違いとは?

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この記事の著者

高橋 飛翔(タカハシ ヒショウ)

 1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。

 ナイルにて、累計1,500社以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足し「ナイルのマーケティング相談室」「ナイルのコンテンツ相談室」などを運営。2018年より新規事業として月10,000円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2021/11/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/37795

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