SaaSビジネスの成長を支える「MVVC」
株式会社マネーフォワード
執行役員/マネーフォワードビジネスカンパニー CSO 山田 一也氏2006年に公認会計士試験に合格し監査法人トーマツに入所。その後、パンカクにて執行役員CFO、Bridgeにて執行役員ベンチャーサポート事業担当を経て、2014年にマネーフォワードに入社。社長室長、『マネーフォワード クラウド』開発本部長を経て、現在はマネーフォワードビジネスカンパニー CSOとして戦略全体を統括。
SaaSビジネスの成長には、「1、MVVC(Mission・Vision・Value・Culture)の浸透」「2、組織拡大・組織作り」「3、M&A」「4、データを活用したビジネスの展開」の4つが重要であると考えており、この4つを満たしているかどうかが、玉石混交のSaaS市場において事業を伸ばしていける企業とそうでない企業の境目だと捉えています。
まず「1、MVVCの浸透」について。MVVCは、SaaSビジネスを伸ばしていくための根幹であり、本質的な部分です。クラウド型サービスは、これまでのオンプレミス型のサービスと異なり「売ってからがスタート」ですが、このSaaSビジネスの本質を中長期的に支えていくために必要なのが「MVVC」です。
当社ではMVVCのValueにおいて「User Focus」「Technology Driven」「Fairness」という3つを掲げ、すべての行動においてこの考えを指針にしていますが、この3つこそSaaSビジネスを成長させていくために必要なものだと考えています。
まず「User Focus」について。オンプレミス型と異なり、SaaSは売れた瞬間には1ヵ月分の売上しか確約されません。そして2ヵ月目以降ユーザーを放置したり、ユーザーに不義理な行為したりするとすぐに解約されてしまいます。そのため、SaaSビジネスではとことんユーザーに向き合い続ける必要があるのです。
またSaaSというビジネスは「Technology Driven」という要素も非常に大事です。SaaSは売ってからずっと使い続けていただく必要がありますが、基本的に機能が変わらないことを前提に買われているオンプレミス型と異なり、SaaSを選ぶお客様は「サービスがどんどん良くなっていくこと」を期待しています。その期待に応えていくために、最新のテクノロジーを使ってサービスを良くしていく「Technology Driven」の考えは非常に重要だと考えています。
最後の「Fairness」は「User Focus」に通じるところがありますが、お客様はいつでもサービスを解約することができますので、SaaS事業者はお客様にとって不義理なことはしない、常に誠実であることが求められます。これら3つのValueがしっかり会社に根付いていることで、マネーフォワードはSaaSビジネスを伸ばし続けていくことができています。逆に、これらが当たり前にできる会社でないと、SaaSビジネスはうまくいかないでしょう。