『サイボウズ式』の立ち上げから学んだこと
――大槻さんは『サイボウズ式』を立ち上げ、初代編集長も務められていました。いまや『サイボウズ式』はいち企業のオウンドメディアの域を超える規模になっており、編集チームもますます大きくなっているようです。企業としての想いや熱量をチームメンバーで共有するために意識されていることはありますか?
一番は、採用ですね。社員の採用に関しても、『サイボウズ式』の編集メンバーに関しても、会社の想いに深く共感している人しか採用していません。ですので、なかなかメンバーを増やせず、運営が少し大変だった時期もありました。それくらい、採用には力を入れているので、何か苦労することはなかったと思います。
これに加えて採用時の面接で注視しているのは、その方の「考える力」です。『サイボウズ式』では、自分の企画について深く考え抜くことが求められるからです。もう少しかみ砕くなら、「情報収集能力」「目利き力」「編集力」でしょうか。サイボウズ社内に転がっているいろいろな話題をキャッチし、世の中の話題とどう組み合わせると、面白いコンテンツになるか? と自分で考えて形にできる力のある方がよいですね。
――『サイボウズ式』がここまで成長できた要因は何だったと思われますか?
元々ここまで大きくなるとは思っていなかったのですが、特に立ち上げ期では「目標を置かなかった」ことがポイントだったと思います。
『サイボウズ式』は、2012年に3人のメンバーで立ち上げました。当時は働き方改革のブームもあり、やればやるほど伸びていく、という有難い状況でした。もうひとつラッキーだったのは、当時サイボウズのプロモーションが探索フェーズにあったことです。定番の施策で獲れるネット上の層は獲り切り、それまでやっていたマーケティング施策では成果が出なくなっていました。そこで、社長の青野が「こうなったら、何でもいいからトライしてみよう」と。なので、成果が出ると確約しなくて良かったのです。
とはいえ、振り返ってみると、そうじゃないと続けられなかった、ここまで大きくならなかったと思います。コーポレートブランディングは長期的な取り組みです。「毎月〇本記事をアップする」などと目標を決めてしまうのではなく、自分達を縛らず、やりたい・やるべきだと思うことをしっかりやってこれたからこそ、ここまでの成果に繋がったのではないかと感じています。
