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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

コロナに負けないブランドの作り方

3度の値上げ、好調だったネット通販からの撤退――「ケンズカフェ東京」に学ぶ、ブランドを確立させる方法

「他者評価」がブランド価値を高める

 ここまでの話で、ブランドを知ってもらうには宣伝活動が欠かせないこと。それには「広告」と「広報」を使い分け、広告を出すなら「出過ぎた杭」を目指すべし。そうお伝えしました。では、広報は何を狙うか?それは「他者評価」です。

 他者評価とは、口コミやメディアといった他者に、自社商品を紹介してもらうこと。自分でアピールするよりも断然、信頼度が高まります。特に有名メディアや著名人に紹介される効果はとても大きいです。

 しかし、メディアに直接お願いしたところでなかなか取り合ってもらえません。そこで頼りになるのが「広報のプロ」。小さな会社や組織が勝ち抜く秘訣は、プロの広報人材にあるとさえ私は考えています。

 「他者評価を期待しなくても、うちは自分でSNSを発信しているから大丈夫」という方もいるでしょう。私も以前はせっせとブログを書き、SNSで積極的に発信していましたが、今はほとんどしていません。なぜなら、自分で商品をPRしたところで、世間的な評価はさほど上がらないからです。確かに熱意は伝わるかもしれませんが、「また宣伝しているよ」と残念な見方をされてしまうこともあります。

 それよりも、自分以外の誰かに取り上げてもらうほうが圧倒的に信頼度は高まります。それを実現してくれるのが、広報のプロなのです。広報に関する専門知識やメディア人脈を自社で持つ場合は別ですが、そうでなければ迷わずアウトソーシングしたほうが得策でしょう。

 個人広報から大手広告代理店まで、広報人材の価格帯はまさにピンキリ。契約期間にもよりますが、個人なら月額10万円のギャラでも引き受けてくれる広報パーソンはいるでしょう。月額30万円もあれば優秀な人材を探せると思います。

 結果としてケンズカフェ東京は、年間10本以上の地上波で紹介され、雑誌・WEB記事・SNS上で掲載されることも多数。著名人が紹介してくれることも多々あります。

 また、最高級ステイタスカード「ラグジュアリーカード」のメンバー様向けに特別な優待サービスを行っていたり、スーパーカー「マクラーレン」の顧客向けクリスマスパーティーでは、本物志向のお客様にご満足いただける手土産として、特製のガトーショコラが起用されました。

 こうした富裕層向けのブランドから評価いただけたのは、すべて広報パーソンのネットワークのおかげ。もちろん、商品が良いからこそ、また、それぞれが持つ高級ブランドのイメージに合致していたからこそ、お声がけいただいたと思いますが、広報パーソンなしでは実現しなかったでしょう。

 これらはほんの一例ですが、広報のプロに力を借りることで、他者評価をもらえる機会がぐっと増えました。自らアピールするだけではなく、他者から評価や紹介がもらえるよう工夫する。これが、ブランドの信頼性を高め、価値を高めることへと繋がります。

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商品価値を決める「価格」戦略

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この記事の著者

氏家 健治(ウジイエ ケンジ)

ケンズカフェ東京 オーナーシェフ

1998年に東京・新宿御苑前にイタリアンレストラン「ケンズカフェ」を開店。経営危機に直面しながらも、ガトーショコラのみの販売に転換。品質の高さを追求したガトーショコラと取捨選択を極めた経営戦略で業績をV字回復させる。2015年のファミリーマートとのコラボレーションを皮切りに、多...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/01/17 08:30 https://markezine.jp/article/detail/38079

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