DXの「可視化」を活用する
1、虎がきちんと檻の中にいるか? を「可視化」する
いくつかの方法やその組み合わせがあるが、i) 防犯カメラを設置、ii)電子ロックで施錠を確認、iii))タグを虎につけて位置を把握 などができるのではないか?
それらを監視室や飼育員のスマホなどで確認できるようにすることは簡単であろう。
2、「アニマル通路」に異常がないか? 何かいないか? を「可視化」する。
こちらもいくつかの方法やその組み合わせがあるが、i)防犯カメラを設置、ii)動体センサー(赤外線など)や熱センサーを設置、iii)タグを虎につけて位置を把握 などができるのではないか?
こちらは定時を過ぎてから異常な動きがあればスマホ等に通知することも可能である。アニマル通路の防犯カメラが動きを感知した場合、熱を感知した場合、虎がアニマル通路にいるとタグが感知した場合などスマホに通知がきて、監視カメラで直接確認できる仕組みも簡単に確立できるであろう。
もし、那須サファリパークの経営や従業員にデジタル化に詳しい人間がおり、色々なリスクを回避する方法や新しい仕組みを提案できていたら今回の悲劇は回避できたのではないかと考えると残念でならないのである。日本のDX教育、リスキリング(新しい時代に向けた新規スキルの習得)について考えてみたい。
日本のDX教育、デジタルリスキリングの現状
那須サファリパークで以前に事故があった1997年や2000年には「監視カメラ」も「安く汎用的なセンサー」も「電子タグ」や「スマホ」も存在していない。多分マニュアルや施設はその時と大きく変更はされていないのであろう。すなわち言葉は悪いが「昭和のアナログな」運営業態を続けていたのではないだろうか? 一般的に「スマホ」を全員が持ち、「電子タグ」「センサー」や「監視カメラ」が安価で入手できる現在においてはそれらを活用すべきではないだろうか?
しかし、日本ではそれに必要なDX教育やリスキリングが十分に行われていないのが現状である。
私は一昨年出版した『マーケティング視点のDX』(日経BP)においてマーケティングDXの4大要素を4Pとして上げたが、その中の「People」すなわち実行する人や教育に関する部分が一番ベースになるものであるとして「あえて人間がやるべきこと」を規定する重要性についても書いたつもりである。
しかし、現状は大企業の中でもようやく新しい能力の再教育である「リスキリング」が検討されているような段階であり、中小企業や那須サファリパークのような企業にはまだまだ行き届いていない。昨年肝入りで「デジタル庁」が設立されたのではある先ずは「接種証明」のデジタル化など行政手続きのデジタル化を進めている段階であり、広く民間まで浸透しているものではないのが現状である。