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商品販促キャンペーンを効率化するポイント活用戦略(AD)

ポイントコード配布キャンペーンでフォロワー数2倍に!nanacoが目指す次世代のポイント活用戦略

 昨今、電子マネーやポイントプログラムを利用する生活者の間で、よりお得な買い物をする「ポイ活」が盛んに行われている。各種ポイントを活用したキャンペーンが浸透する反面、販促を実行するために企業がクリアすべきハードルは多い。電子マネーnanacoを展開するセブン・カードサービスでは、ポイント活用を促進するサービス「nanacoポイントコード」を開始。本稿では、同サービスを牽引する百田氏、支援企業であるジー・プラン社の田中氏の両名から詳しい話を聞いた。

セブン‐イレブンだけじゃない!外部加盟店約90万ヵ所の決済サービス

MarkeZine編集部(以下、MZ):まずは、皆さまのご経歴と現在の業務領域についてお教えください。

百田:私は元々、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンに入社し、長らく営業部門におりました。

 加盟店様の経営等をサポートするカウンセラーや、新規出店計画を担うリクルートフィールドカウンセラー、マネジャーなどを経験した後、2015年に株式会社セブン・カードサービスへ転籍となりました。以降は電子マネー関連の業務を担当し、現在に至ります。

(左から)株式会社セブン・カードサービス 電子マネー業務推進部長(取材当時※) 百田雄一氏ジー・プラン株式会社 プラットフォームビジネス部長 田中裕章氏※2022年3月より、株式会社セブン・フィナンシャルサービス イノベーション企画部長

(左から)株式会社セブン・カードサービス 電子マネー業務推進部長(取材当時※) 百田雄一氏

ジー・プラン株式会社 プラットフォームビジネス部長 田中裕章氏

※2022年3月より、株式会社セブン・フィナンシャルサービス イノベーション企画部長

百田:我々が所属する電子マネー業務推進部は、nanacoが使える加盟店の拡大や利便性向上・nanacoポイントの提携と利用促進などが主なミッションです。最近のトピックスとして、2021年10月からApplePayでもnanacoが使えるようになり、セブン‐イレブン、イトーヨーカドーはもちろん、外部の加盟店様を含め約90万ヵ所でより便利に使えるようになりました(2022年1月末現在)。

 現在その中でも重要なミッションが、nanaco加盟の認知向上です。nanacoは会員数7,500万人を有する電子決済サービスです(2022年1月末現在)。ところが、セブン‐イレブンでの利用イメージが強く、他のお店でも使えることが意外に知られていません。マクドナルド様や吉野家様、ユニクロ様などの店舗でも使え、ポイントも貯められる、という認知を高めていく必要があります。

田中:私はジー・プランという会社で、プラットフォーム事業に携わっています。

 セブン・カードサービス様のような企業様と、外部加盟店様とのポイント交換提携を、我々のプラットフォームを介して行うのが主な業務です。

 お客様は大手企業のマーケティング部門や、ポイント推進業務を担当されている部門の方が大半です。企業間のポイント提携は、システム面や運用面において大変な部分が多いため、プラットフォームを介して黒子的にお手伝いするのが我々のミッションとなります。

お客様がnanacoポイントを取得できる機会を増やしたい

MZ:「ポイ活」という言葉が一般化し、ポイント活用の流れが広がっているように感じます。ポイントを提供される企業側としての所感をお聞かせいただけますか。

百田:ポイ活のように、ポイントが付与される機会をうまく活用し、集めたポイントによって次の購買を行うお客様が増えた認識です。

 ポイントの流通や市場規模が拡大する中で、我々には抱える課題がありました。そもそもnanacoポイントは、「決済によってポイントがもらえる仕組み」です。個々の消費のみではポイントが貯まりにくいというご意見もあります。

 一方で、決済によるポイント取得以外に、ポイント自体をマネタイズされている他社サービスが増えています。セブン‐イレブンが販売している飲料に、他社のポイントがつくキャンペーンが展開されるような状況を変えたい、という想いがありました。

 セブン‐イレブンやイトーヨーカドーを利用されるお客様は、nanacoポイントを好んで集めてくださっている方が多い印象です。キャンペーンでもらえるようなポイントも含め、nanacoポイントに一本化する方が、消費者のメリットにつながりやすいのではないか、と考えました。

 そのためには、お客様がnanacoポイントを取得するための間口を、いかに広げるかが重要です。様々なキャンペーンや景品の中にnanacoポイントを入れ込めないか、キャンペーン参加者がnanacoポイントを受け取るためのわかりやすい流れを作れないかと考え、そのための課題解決として、今回の「nanacoポイントコード」が生まれました。

企業間のポイント提携を簡易化する「ポイントコード」

 MZ:nanacoポイントコードはジー・プランで提供されている「ポイントコード」によって実現していると聞きました。ポイントコードについて概要をお教えください。

 田中:企業様が運用する自社ポイントを、デジタルギフト化するシステムを提供しております。

 ポイントを16桁のシリアルコード化することで権利化し、配布可能な状態にするサービスで、シリアルコードを受け付けるための受け皿のページも、当社で用意しております。採用企業様にとっては、ポイントのシリアルコード化に必要な投資を抑え、簡易的に自社のポイントを発行できるメリットがあります。

 先ほど百田様が仰った通り、nanacoポイントは、しっかりとしたシステム連携を経て後日ポイントが付与されるパターンが大半でした。ただ、このパターンに偏ってしまうと、パートナー企業様と連携して販促を行う際、様々な制限が生まれます。

 決済による後付けではなく、ユーザーのアクションに対して、シリアルコードをメールに添付したり、店頭でプレゼントしたり、決済以外のシーンでのポイント付与を増やすことで、販促の幅が広がる可能性を提案させていただきました。

nanacoポイントコードのポイントコード発行設定からポイント付与までの流れ
nanacoポイントコードのポイントコード発行設定からポイント付与までの流れ

 百田:提携企業様との協業を進める際、販売アップや業績アップなどの効果がまだ見えない段階で、システム改修を含めた運用までしなければならないリスクを懸念し、二の足を踏まれる方が多い状況でした。

 今回、ポイントコードを利用することで実現したnanacoポイントコードによって、まずはお試しでポイント提携し、結果次第で本格的な協業を進める、というステップを踏めるようになったのは大きいですね。

 運用開始して間もないため、まずは自社・グループ内のキャンペーンでポイントコードを配布する、Twitterでリツイートいただいた方にポイントを差し上げる、などの活用から始め、そこから外部の提携先企業様へ波及していくような展開を考えています。

勉強会から生まれた、ポイントの価値向上と活用の流れ

 MZ:ジー・プラン様が展開するポイントコードを知ったきっかけや、導入に至るまでの経緯をお教えください。

 百田:決済サービスから始まったnanacoが、お客様のニーズに合わせて拡張していく中で、自社ソリューションではポイントサービスの拡大が難しくなりました。その一部分をジー・プランさんに担っていただいたのが、お付き合いのきっかけです。

 田中:セブン・カードサービス様との関係は、ポイントコード提案以前の2012年頃にスタートしています。元々は、nanacoポイントの交換提携の裏回りをサポートさせていただいておりました。

 百田:ジー・プランさんには、2018年頃から3ヵ月に1回程度の頻度で、勉強会を企画してもらっています。

 当時のメンバーは私を含めグループ事業会社から出向してきたメンバーが多く、ポイントに関する知見に乏しい状況でした。勉強会を通じてマーケットやニーズなどを教えていただきつつ、ポイントに関する各種提案をいただきながらサービスの拡張を進めた、という経緯です。

 たとえば、電力会社等公共系サービスのポイントは、簡単に貯められる反面、利用できる機会が少ない印象です。そのポイントをnanacoポイントに交換し、スーパーやコンビニエンスストアで活用できれば、電力会社等のポイントの価値が上がるし、我々はいただいたポイントを加盟店様側に還元できます。

 ポイントの価値向上から活用までの流れをジー・プランさんにご提案いただき、その延長線で今回のポイントコード導入につながった、と認識しています。

キャンペーンで21万リツイートを獲得、フォロワー数2倍に

 MZ:nanacoポイントコードの活用事例と、取り組みの効果についてお聞かせください。

 百田:nanacoのApple Pay対応が開始する際、Twitter上で告知を行ったのですが、告知をリツイートいただいた方に、抽選でポイントコードを差し上げるキャンペーンを実施しました。

キャンペーン当時に使用した実際のクリエイティブ
キャンペーン当時に使用した実際のクリエイティブ

 百田:結果として1万5,000件のリツイートを獲得し、元々7万だったフォロワー数を14万超まで増やすことができました。デジタルリテラシーの高いお客様との繫がりが増え、ポイントを介したコミュニケーションが取りやすくなった印象です。

 もう一つ、セブン&アイグループのショッピングセンター「アリオ」の一部店舗で実施した抽選会において、ポイントコードを活用しました。

 スーパーなどでよく実施されている、いわゆるガラガラ抽選会は、○○円以上ご購入いただいたお客様にクジを引いていただく企画ですが、コロナ禍では今までのような実施が難しい状況です。

 そのため今回は、条件を満たしたお客様にQRコードが印字された名刺サイズのカードをお渡しし、ご自身でスマホで抽選の後、当選者にポイントコードを差し上げる取り組みを行いました。ポイントコードが印刷された名刺サイズのカードをお渡しすれば最低限の接触で済むため、密を避けつつキャンペーンは持続できる、時節に合った企画だったと思います。

 百田:施策の幅が広がる以外のポイントコードがもたらすメリットとして、お客様側のポイントに対する意識の違いがあります。

 たとえば、200円ごとに1ポイント貯まる加盟店様で400円分買い物をしたとします。この場合、お客様は翌月に2ポイント付与されるのですが、その頃には忘れてしまっています。

 今回の抽選会の場合、ポイントコードを受け取った方は、その場でコードの入力をします。お客様がポイント獲得に対して意識的に参加する意義は、決済によるポイント付与とは大きく違う点だと感じています。

ポイントコード入力とポイント付与の流れ
ポイントコード入力とポイント付与の流れ

幅広いユーザー属性で、提携先企業のニーズに応える

 MZ:企業の販促を支援する取り組みとして、今後のnanacoポイントコードの展望についてお聞かせください。

 百田: nanacoポイントコードが、キャンペーンにおける景品の選択肢として取り上げられる機会を増やしたい、と考えております。

 たとえば、テレビのリモコンでクイズに回答するような、視聴者参加型の番組がありますよね。抽選で100名様に商品券をプレゼントする代わりに、nanacoポイントコードをプレゼントしてもいいのではないでしょうか。

 我々の強みはユーザー数だけではありません。ユーザーの分布バランスも強みの一つです。スーパーなどがメインで発行する電子マネーやポイントカードの場合、ユーザーは女性が中心となるケースが多いです。これに対し、nanacoユーザーの男女比はほぼ半々で、年代も20代から50代までうまくばらついています。

 つまり、ターゲットの幅を広めに設定したいキャンペーンであれば、提携企業様のニーズにより強くお応えできるのでは、と考えています。

 MZ:支援企業のジー・プランとしては、セブン・カードサービスの展望に対し、どのような価値をご提供できるとお考えですか。

 田中:当社で実施したアンケートによれば、ユーザーは少額でもいいから自身の貯めているポイントが欲しいと考えており、それ以外のポイントが付与されるキャンペーンには興味がありません。

 この結果を踏まえると、nanacoの会員数やユーザーの層の厚さは、キャンペーンを実施する企業の目線から見て非常に魅力的なポイントだと思います。

 とはいえ、提携企業様側から見た使い勝手などについては、改善の余地があるのが現状です。セブン・カードサービス様と提携企業様、双方にとって使いやすいサービスを追求していきたいと考えています。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/22 16:46 https://markezine.jp/article/detail/38360