Twitter×YouTubeで相乗効果を
MarkeZine編集部(以下、MZ):2021年10月末のYouTube公式チャンネル「サガ公式チャンネル」立ち上げの際に、Twitterを活用して、同チャンネルの登録者数増加を狙ったのはなぜでしょうか。
市川:コアなユーザーが持つ熱量をTwitterで広げ、「サガ公式チャンネル」の登録につなげていきたい狙いがありました。スマートフォン向けRPG「ロマンシング サガ リ・ユニバース(以下、ロマサガRS)」のユーザーにゲーム内でアンケートを行うと多くの回答があり、長文でゲームに対する意見や感想を送ってくださる方もいらっしゃいます。
このゲーム内での熱量をTwitterの会話としてユーザーの皆さんに行っていただくことで、話題化やトレンドインにつなげることができると考えました。これにより、ロマサガRSをプレイしているがYouTubeチャンネルに登録していないユーザーや、過去の「サガ」作品をプレイしていた方々にサガ公式チャンネルの登録の促進を狙いました。
幅広い世代・嗜好性のファンに情報を届ける
MZ:YouTube公式チャンネルを立ち上げたのには、元々どのような背景があったのでしょうか。
市川:30年以上続く「サガ」シリーズの様々なファンが集まれる場所を作りたいと考え、「サガ公式チャンネル」を立ち上げました。
長年続けているとファンの世代はもちろん、嗜好性も幅広くなっています。これまではスクウェア・エニックスのYouTube公式チャンネルに動画をアップロードしていましたが、それだけでは情報が埋没しますし、ファンに正しく情報を届けきれないのでは、と考えていました。
そこで「サガ」シリーズ専門のYouTubeチャンネルを立ち上げ、届けた情報をわかりやすくアーカイブ化することで、動画コンテンツの活用を強化できるのではと考えました。
また「サガ公式チャンネル」を立ち上げる前に行っていた生放送の配信や、音楽ライブ映像の生配信なども好評で、スクウェア・エニックスのタイトルの中でも反響が大きかったことも、立ち上げの背景となっています。
ライブ配信しながら会話量を増やせるイベントページを活用
MZ:では、実際に行った施策について教えてください。
市川:今回は、YouTube公式チャンネルで行っている公式生放送をTwitterでも同時配信しました。配信の際はイベントページを導入することで、動画を見ながらツイートができるようにし、ユーザー間の盛り上がりを狙いました。また、イベントページ上でのツイートは生放送が開始してから行えるようにしました。
さらに、今回の生配信では #ロマサガRS事前登録 というハッシュタグを設定しました。
MZ:事前登録は、本来リリース前のアプリが行うキャンペーンだと思いますが、なぜそのようなハッシュタグにしたのでしょうか。
市川:事前登録は多くのアプリで行われており、言葉として使い古されていたので、それを逆手に取ろうと考えました。「ロマサガRSってもうリリースされているのに、なぜ事前登録?」とユーザーの興味・関心を引けるだろうと。この場合の「事前登録」とは、リリース3周年記念のイベントやキャンペーン施策の事前である、という立て付けとしています。
そして、本来使われている意味の、事前登録キャンペーンのように、公式チャンネルの登録者数に応じてロマサガRSのユーザー全員にゲーム内報酬をプレゼントする形を取りました。
日本のトレンド2位にランクインする会話を創出
MZ:施策によって得られた成果を教えてください。
市川:事前登録キャンペーン開始時点でお知らせした、すべての報酬が配布できるだけのチャンネル登録者数を達成できたので、追加キャンペーンを行いました。最終的にはこの時点で7万人を超える方が、サガ公式チャンネルに登録してくださいました。
Twitterでイベントページを活用した生放送を行ったことにより、Twitter経由でYouTubeにユーザーを誘導できたと考えています。
また、今回はロマサガRSの3周年直前キャンペーンとして行ったのですが、3周年のキャンペーンを盛り上げる施策としても貢献したと考えています。売上やDAU、新規ユーザーの獲得、すべてが好調だったのですが、そのきっかけがYouTubeとTwitterの連動施策だったと思います。
MZ:Twitter上での盛り上がりに関してはいかがでしょうか。
市川: #ロマサガRS事前登録 の付いたツイートのうち、77%は公式生放送中に行われており、1万2,000ツイートが集まりました。トレンドに関しても、日本のトレンド2位にランクインすることができました。
CPI、ROASで見えない熱量・盛り上がりが重要に
MZ:今回の施策を通じて得られた知見・学びがあれば教えてください。
市川:今回のキャンペーンでは、CPIやROASなどの数字では見えない熱量や盛り上がりに可能性を感じました。これまではCPIやROASが合えば上手くいっている、という考えもあったと思いますが、コアなユーザーがインフルエンサーとなり、多くの方に情報を拡散してくれたほうが成果につながると今回の施策でわかりました。
そしてTwitterは、「サガ」シリーズのユーザーやファンが集まるコミュニティとして今後も活用できると考えています。直近はロマサガRSをきっかけにTwitterを始める人やファンアートをTwitterで見かける機会が増えているので、そのコミュニティを活性化していきたいです。
「サガ」シリーズを選んでよかったと思われるプロモーションを
MZ:最後に、今後の展望を教えてください。
市川:今回のように、Twitterを活用してYouTubeのコンテンツに誘導する取り組みを今後も続けていきたいと考えています。加えて、プロモーション費用を使ってユーザーの皆さんに還元できる施策が行いたいです。
「サガ」シリーズを遊んでくれている方の多くが数あるゲームからあえて「サガ」を選んでくれています。ですので、単純に他のタイトルで上手くいっている施策をマネして実施するだけでは不十分に感じますし、このタイトルだから好き、という方々に向けてより強く発信するためには、工夫が必要です。
だからこそ、今後も「あなたが選んだタイトルがおもしろいことをやっていますよ」と言えるようなプロモーションを全方位で行いたいです。そして、今後もユーザーの皆さんに「サガ」シリーズを選んでよかったと思ってもらえる施策に取り組みます。