顧客のニーズと提案したい商品のバランスを図る
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、お二人のお仕事の範囲を教えてください。
日笠:レノボのECサイトを管理するTeleWebダイレクト事業部に所属しており、その中で法人専用ストアの「LenovoPRO」のマーケティングを担当しています。Web広告やメールニュースの運用など集客のための各活動から、ストア内にある法人向けセール会場の品ぞろえの調整まで、幅広く手掛けています。
大塚:プレイドでKARTE Blocksの事業推進を担当しています。主にカスタマーサクセスを進めており、顧客の声を元にしたプロダクトの磨き込みや、KARTE Blocksが目指す世界観が顧客にフィットしているかの検証を日々行っています。
MZ:ありがとうございます。では、レノボ・ジャパンが目指すオンラインでの顧客体験についてうかがえますか? どういった方針で運営されているのでしょうか。
日笠:第一に、メーカーの直販サイトとして、どの顧客層の方にも目的に合う情報をすぐに見つけられ、悩まずに購入できることを大事にしています。私が担当する法人ストアのほかに、個人ストア、さらに学生ストアなどがありますが、各顧客層の方に最適な顧客体験を提供することを目指しています。そのためにも、サイトにアクセスされた方の属性をなるべく早い段階で把握して専用ストアに誘導することを意識しています。
もちろん我々としても特にアピールしたい製品がありますので、顧客のニーズと我々の提案のバランスがちょうど良くなるよう、常に考えています。
サイト自体を顧客に合わせて変えられるKARTE Blocksに期待
MZ:KARTE Blocksを導入する背景にあった、以前のサイト運用の課題はどういったことだったのでしょうか?
日笠:お客様一人ひとりの動きを捉えて、最適な情報を出し分けることが課題でした。それに対して、まず2019年にKARTEを導入し、2020年にKARTE Blocksのβ版が発表されてテストユーザーになったという経緯です。
Lenovo.comには非常に多くのトラフィックがありますが、私が2019年5月に入社したときから、法人の方に法人専用ストアをいかにアピールするかということが課題でした。そこで、PVやUUの先にあるお客様の動きに合わせて適切に誘導するために、KARTEを最初にLenovoPROに導入しました。プレイドの担当者様に教えていただきながら、ポップアップなどサイト上のコミュニケーションを重ねて、次第に適切な誘導ができるようになりました。
MZ:その上で、KARTE Blocksのどういったところに期待されたのですか?
日笠:KARTEがポップアップなどを通して、サイト上に重ねる形でご案内するのに対し、KARTE Blocksはサイト自体をお客様に合わせて作り変えることができる、と聞き興味を持ちましたね。
加えて、当社のサイト運営には世界各国のメンバーが関わっています。その際、ちょっと思いついた施策を試すにも、多くの人を介す必要がありました。KARTE Blocksなら、もちろん事前の共有は必要ですが、私や周囲の数人で簡単に実装してテストができそうだというところに、まず魅力を感じました。
サイト運営における3つの制約――スキル、組織、システム
MZ:なるほど。サイト運営に関わる関係者が多いことで施策をすぐに試せない、煩雑になるということは多くの企業で発生していそうですね。大塚さんにうかがいますが、この点を含めて、KARTE Blocksを導入する企業にはどんな悩みが多いのでしょうか?
大塚:関係者が多く実装に時間がかかる、というのは確かに共通の悩みとしてよくうかがいますね。様々な企業のお話を聞く中で、サイト運営の悩みは、基本的に3つの制約によって生じると考えています。
1つ目は、サイト運用に必要な知識が多様化しており、HTMLやCSS、分析ツールなどを使いこなせる人が少ないという、スキルや人材の制約です。
2つ目が、まさにステークホルダーが多いために工数がかかるという組織的な制約です。サイトを簡単にいじれないと、外部のパートナーやエンジニアへの依頼が生じ、そのための予算確保や社内調整といった手間やコストが発生してしまいます。
3つ目は、複数のツールを組み合わせてサイトを運営していると、時間の経過に比例してツールの活用自体が煩雑になってしまう、システムの制約です。この3つは、業種を問わず多くの企業で課題に挙がっていて、KARTE Blocksが解決のお役に立てると思っています。
短納期モデルの比較表を載せることで、クリック率が飛躍的に向上
MZ:具体的にKARTE Blocksで行った施策と、その結果をうかがえますか?
日笠:初期の取り組みで本当にびっくりしたのが、「こういうのが見やすいのではないかな」とテスト的に作成したスペック比較表をKARTE Blocksで掲載したところ、クリック率が28.9%になったことです。せいぜい2%から3%程度だろうと想定していたので、何度も、エラーではないかと思いました(笑)。
お客様が製品を選ぶときは通常、自分のニーズに合うか、お得か、そして納期は適切かの3点を主に気にされます。そこに「どのモデルがどれくらいのお得な価格で短納期出荷が可能か」と、情報をわかりやすく掲載できればお役に立てるのではないかと考えましたが、確信を持てていませんでした。また、情報をほぼリアルタイムで更新し続けるには社内各所の連携が必要で「とりあえずやってみましょう」と言うにはハードルを高く感じ、実現できていませんでした。
これを、KARTE Blocksを使えば少人数でもテストできるのではないか、と。やってみると、見ている方に違和感を与えたり、注目を集めすぎたりせずに自然な形で短納期モデルの情報を掲載することができ、想定以上にクリックしていただけました。実際、それだけクリックがあると売上も大きく伸び、数十%のCVRというすばらしい結果が得られました。
MZ:これはすごい数字ですね。予想の10倍近い結果となったわけですね?
日笠:はい。その結果を基に、別ストアでも同じような情報を掲載することになりました。というのも、学生向けストアの担当者がお客様にアンケートをとったところ、短納期モデルを比較したいというニーズが強いことがわかったからです。そこで、こちらにもKARTE Blocksを導入したところ、やはりクリック率や大きな成果が得られました。
KARTEを通して仮説を立て、KARTE Blocksで試す
MZ:使い勝手などはどうでしたか?
日笠:使い方に、まったく悩みはありませんでした。マニュアルを見なくても、ブロックを直感的に設置して施策を実現できます。先ほどの比較表も、社内説明資料を作って製品リストを用意して複数の関係者に依頼してhtmlを組んで……という進め方ですと、おそらく1~2週間はかかっていたと思います。ですが、私が直接更新する作業の1日だけで実装することができました。
日笠:また、表示するコンテンツを、アクセスのルートや過去の閲覧・購入の状況によって簡単に変更していけます。ユーザー行動に基づいてサイト側が動線を複数用意できる点や、アクションから効果測定までを一気通貫で行える点も、既存のツールにはない点だと思います。
MZ:効果測定まで行えると、また次のアクションへとスピーディーにつなげられますね。今回このような結果を得られたポイントを、大塚さんはどうご覧になっていますか?
大塚:まさに日笠さんが挙げてくださった、一気通貫の施策実行が重要だったと思います。A/Bテストなどの実行と分析が別のツールだったり、担当者も別の人だったりすると、施策も思考も分断されてしまいます。
また、よくあるA/Bテストだと、テストが終わって勝ちパターンを見つけたら実装段階に入り、テストは一旦止まってしまうことが多いと思います。KARTE Blocksでは結果が出た段階で100%配信に切り替えて全体適用すればOK。素早く次の施策、次のテストを実行でき、施策のPDCAを高速に動かし続けることができます。
日笠:使う側の視点では、KARTEとの併用が相乗効果を発揮したと思います。KARTE Blocks単体だと、普段のユーザー行動などを踏まえて仮説を立てて検証していく形になりますが、その仮説立案にKARTEで知ることのできる顧客の詳細な反応を活かせるので、アイデアがどんどん生まれています。
社内のアイデアが活性化、Lenovo.comへのKARTE導入へ
MZ:それはすばらしいですね!
日笠:そうなんです。何か事例やヒントが欲しい場合でも、プレイドの担当者様が手厚くバックアップしてくださるので、私も学生ストア担当者もKARTEとKARTE Blocksの成果を、自信を持って社内に強くアピールしました(笑)。同時に、社内の各部署で困っていそうな会話に切り込んで、解決できることを拾って施策化していきました。すると、最初はこちらから「KARTEならできますよ」と提案していたのが、次第に向こうから「これKARTEでできない?」と相談してくれるようになりました。
MZ:売上とともに、社内の勢いも増しているのですね。では、今後の展望をうかがえますか?
日笠:直近では、いちばん大きなストアであるLenovo.comでもKARTE Blocks導入が決定しましたので、法人向けと学生向けの施策で得た知見をガツッと展開していくつもりです。
最初から課題になっていた、お客様のニーズや行動を精緻に捉えて最適化する点には、引き続き注力していきます。Web広告やメルマガからの流入に対する動的なコンテンツの出し分け、つまりLPOを掘り下げたいですね。課題は、やりたいことが多すぎて時間が足りないことです(笑)。
KARTEもKARTE Blocksも誰でも直感的に扱えるツールなので、アイデアのある人が自分たちでトライできるように、チーム内でKARTEそしてKARTE Blocksに関わる人を増やしていくのが近い将来の目標です。
大塚:今おっしゃったLPOに関しては、他社さんからも相談いただくことが多いです。KARTE Blocksを使うと、広告での接点とLPでの表現を一致させるなど、サイトの前後を含めた一連の顧客体験を違和感なく期待に合った形で提供できます。また、工数を圧倒的に削減できるので、引き続き日笠さんとも実績を作っていければと思います。加えて、今KARTE Blocksでフリープランを設けており、全機能を試せるので、規模や業種問わず、あらゆるサイトの運営者の方に体験していただきたいです。
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