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米国最新事情レポート『BICP MAD MAN Report』

Microsoftの「新ウォールド・ガーデン」7.6兆円のゲーム企業買収にある思惑

 米国やグローバルにおける広告・マーケティング業界の最新情報をまとめたベストインクラスプロデューサーズ発行の『BICP MAD MAN Report』。そのカットアップ版をお届けする本連載。

※本記事は、2022年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』75号に掲載したものです。

今回の買収が異例の規模と言われる背景

 2022年1月、MicrosoftはActivision Blizzard(以下Activision)の買収を発表した。図表1は、2000年以降に発表された世界の主なM&Aの金額例だ。

2000年以降の世界の主なM&A金額規模。Wikipediaより日本に馴染みのある企業を筆者が抽出し作成(タップで画像拡大)
図表1 2000年以降の世界の主なM&A金額規模。Wikipediaより日本に馴染みのある企業を筆者が抽出し作成(タップで画像拡大)

 図表1にあるような過去のこれらの「巨大M&A」とは、「巨人の本体同士のガチンコ水平統合」のようなレベルだった。今回のMicrosoftのケースは、「傘下に収める一部門」の買収において、この規模に達している。これは同社の過去のM&Aの数倍規模であり、また最大である(図表2)

図表2 Microsoftが買収した企業価値の上位 (タップで画像拡大)
図表2 Microsoftが買収した企業価値の上位 (タップで画像拡大/参照:Wikipedia

 ここで、Microsoftはまだ「発表を行った」だけだという段階には配慮しておきたい。Microsoft社は規制当局(司法省と連邦取引委員会「FTC」の両方)にとって「歴史的に最も目立つ」事業体である。これからの当局審査には18ヵ月程度かかることが予想され、仮にこの買収が承認されても完了するのは2023年末頃になる。

スケール化ではなく「深める」、Microsoftの戦略

 Microsoftでは、ユーザーの初期タッチポイントがAppleのアップストアやGoogleを経由せずに、Microsoftのクラウド(Azure)から直接サービスを届ける「エンタープライズ・クラウド」を構築して、「繋がりを深める」戦略を展開中だ。広げる・スケール化よりも「深める」というイメージがある。

 Appleは、2021年にアップストアのプライバシーポリシーの変更(ソフト販売主の広告ターゲティングに事業が制限される)を発表した。これを受けて、ターゲティング広告に依存したゲーム会社「Zynga」の株価が半減、「Take-Two」社が超割安になったZyngaのお買い得な買収を発表した。また、今回のMicrosoftとActivisionのM&A発表の直後にはソニーが「Bungie」の買収を発表している。

 これらは単なる人気ゲームの取り合いではない。Appleのプライバシーポリシーの変更も、MicrosoftのM&Aも、「新Walled Garden」が静かに進行している現象だ。

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この記事の著者

榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/03/29 08:30 https://markezine.jp/article/detail/38634

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