アドフラウドを黙認する広告担当者もいる?
野間:日本でもインストール後のアクションを重視する風潮が高まってきた一方で、アドフラウドの問題に関しては日米の企業間に対応の差を感じます。グローバルではアドフラウドが深刻な問題として受け止められており、対策が進んだことで怪しい媒体の利用は減ってきていますが、日本国内においてはまだまだ利用が多いという所感です。
白井:SDK(ソフトウェア開発キット)をハックして数値を上げる類のフラウドが現れるなど、ここ数年でアドフラウドの高度化が進んだ印象はありますね。弊社では独自のアドフラウド対策ツール「CAF(CyberAgent Anti Fraudsystem)」を活用し、オーガニックの数値と比較して異常値と認められるものをブロックしています。
またツールだけでなく、媒体選定を通じてもアドフラウド対策を講じることはできます。たとえばLiftoffのようなRTBを用いた配信では、無効なクリックやインプレッションが枠に対する価値を下げてしまうため、アドフラウドが必然的に発生しにくい構造を呈しています。今後はRTB配信のプラットフォームを積極的に提案することでも、アドフラウドの撲滅を目指したいと考えています。
野間:少し踏み込んだ質問をしても良いですか? 広告主側で「フラウド=悪しきもの」と認識はしているものの、数字上は好調に見えるぶん担当者があえて対策に踏み切らないケースもあったりするのでしょうか。
白井:複雑な質問ですが、配信ボリュームが一時的にでも縮小すると現場担当者の責任になるので、配信のポートフォリオを崩すことに抵抗を示す方がいてもおかしくありません。ただし、長期的な成果を考えるとアドフラウド対策を講じない手はないので、私たち代理店からも積極的に啓蒙活動を行う必要があると考えています。
獲得ユーザーのLTVが高くボリュームが出やすいLiftoff
MZ:サイバーエージェントでは、プログラマティック広告をはじめ新しい広告媒体を積極的に選定・提案されていると伺いました。アプリマーケティングにLiftoffのようなDSPを活用する意義についてお話しいただけますか。
金子:獲得ユーザーのLTVが高いほか、配信面やユーザーのデータが取れるというメリットもあります。CPI固定の場合、配信面が完全に非開示のため不透明性が高く、どんなユーザーで獲得が発生しているのかもわかりません。一方DSPは配信面の情報やユーザーの性別・年齢などを把握できます。新しいキャンペーンを走らせる際に過去のデータを参照できるのはかなり大きなメリットですね。
白井:「効果を担保しつつボリュームを出したい」というのがクライアント様の望みだと思います。先に述べた通り、多くの指標を見るクライアント様の要望へ応えるためには、オーディエンスターゲティングをかけ、広告を表示すべきユーザーに対して配信するRTBの手法が今後主流になってくると思います。
Liftoffは他のDSP媒体と比べてボリュームが出やすく、配信面を網羅できているというのが私たちの認識です。これは恐らくLiftoff Mobileさんの企業努力によるものだと思いますが、弊社の主要顧客にも安心して提案できるので助かっています。