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マーケターこそ知っておきたい、プライバシーガバナンス構築・運用のイロハ

【2022年4月】改正個人情報保護法の施行に各社はどう対応したか?3パターンに分けて検証する

パターン3:Cookieレベルでの同意を取得する対応

 今回の改正個人情報保護法への対応だけではなく、GDPRなど海外の法律も見据えた対応をしたパターンです。具体的には、いわゆるCookieバナーと言われるサイト上に表示するポップアップを通じて、ユーザーに対してCookie利用に関する同意を取得する環境を整備していました。データ活用という観点では、ここまで紹介してきたパターンの中で、最も大きな影響を受けたとみられます。

 これらの企業はCookieバナーを提示するだけでなく、Cookeiバナーで取得した同意情報に合わせて、マーケティングや分析などのCookieを利用しているタグについて、Tag Managerの機能などを利用して発火の制御を行うことになります。そのため、今までターゲティング広告を配信することができていた人のうち、Cookieバナーで同意情報を取得できた人だけをタグの発火対象にしたり、分析のタグを出せる対象も同意情報を取得できた人に限定する必要が生じます。

 Cookieバナーを提示する場合、出し方によっても異なりますが、同意の取得率は5~20%程度となることが多いため、リターゲティング広告などはほぼインプレッションが出ない状態になっている企業も出てきています。4月に対応したばかりであっても、影響が出始めている企業もあります。

 このパターンの企業は今後、バナー経由での同意取得の率をあげることに力を入れていく必要があると考えられます。今までと比較すると、マーケティングやデータ分析に利用できるデータは8割以上減ってしまうのですが、減少度合いが80%減か95%減かといった違いでも、その差は大きいものです。そのためどのような通知をするか、顧客に対してどのような文言で説明をするかといったことを検討し、同意取得率をあげられるように施策を打っていく必要があります。

まとめ

 企業によって状況は異なりますが、4月1日に改正個人情報保護法が施行された影響により、データ活用において変化が必要とされています。また今回の対応を基盤として、法令の変化や世の中の要請を鑑みながら、今後も改修をしていくべきものです。

 もちろん、データを適切に取り扱う先には、より効率的なデータ活用や、データを活用したマーケティングがあるので、実現したい内容に向けた改善やルールの見直しなども検討していく必要があると思います。そのように考えると、今回の個人情報保護法への対応は一過性のものではなく、今後行われるデータの取り扱いについてのルールを運用していくスタートと位置づけられるのではないでしょうか。

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この記事の著者

簗島 亮次(ヤナシマ リョウジ)

株式会社インティメート・マージャー代表取締役社長。
慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科を2010年首席で卒業。2013年、Googleのレイ・カーツワイル氏が2020年に起きると予測した「あらゆるデータがひとつに統合される」という革命を冠した株式会社インティメート・マージャーを創業し、2019年10月東証マザーズへ上場。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2022/05/12 09:00 https://markezine.jp/article/detail/38836

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