パーソナライズ×ヘアケアのカテゴリを切り拓いた「MEDULLA」
MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに自己紹介をお願いします。
坂口:Spartyは、パーソナライズ×D2Cを軸に、様々な事業およびブランドを展開しています。その中で私は、パーソナライズヘアケアブランド「MEDULLA(メデュラ)」のデジタル広告の運用を担当しています。
MZ:今でこそ、パーソナライズ×ヘアケアで展開しているブランドは多数ありますが、2018年にリリースされたMEDULLAは、その先駆けと言える存在です。ブランド誕生から4年目を迎えるにあたり、デジタル広告の運用におけるフェーズも変わってきたのではないでしょうか?
坂口:MEDULLAは、オンラインで髪質診断を行い、約5万通りの組み合わせの中からお客様に合ったヘアケアアイテムをご提供しています。お客様一人ひとりの髪質に合わせてカスタマイズできること、香りも7種類から好きなものを選べること、お名前入りのヘアカルテを添えたボックスでお届けすることなど、パーソナライズだからこそ実現できるサービスでファンを獲得してきました。
2022年1月からは新たなテレビCMも放映していますが、放映開始に合わせてブランド全体で露出を強化しており、デジタル広告の予算も増えています。LINE広告をはじめ、InstagramなどのSNS、YouTubeやTikTok などの動画プラットフォームをメインに広告を出稿し、さらなる認知拡大と新規顧客の獲得を目指しています。
獲得数が全体の約6割に及ぶことも。LINE広告は新規獲得の重要媒体
MZ:MEDULLAでは、2019年からLINE広告を活用されています。出稿を開始した当時の狙いをお聞かせ下さい。
坂口:元々、デジタル広告はInstagramを中心に運用していました。MEDULLAのリリース当初は安定的に運用できていたのですが、サービスをさらにグロースさせる段階になり、CPA(顧客獲得単価)を改善する必要性が出てきました。そこで、新たな広告媒体としてLINE広告への出稿を開始しました。
MZ:LINE広告の出稿開始から2年半ほど経ちましたが、手応えはいかがでしょうか?
坂口:出稿開始時から現在まで安定して新規顧客を獲得できており、多い時は全体の約6割がLINE広告経由での獲得となっています。また、LINE広告の運用を始めてからデジタル広告における全体のCV数が3倍に伸長したこともあり、LINE広告はMEDULLAにとって非常に重要な広告媒体です。
また、先述した通り、CPAの改善が急務だったため、LINE広告の運用においても最重要KPIはCPAで、その目標値はLTV(顧客生涯価値)を基準に設計しています。広告で初回のオファー価格が低いとLTVが下がり、価格が高いとLTVが上がる傾向がありますね。
「モテシャンプー」のコピーは効果大⁈ 検証で掴んだLINE広告で響くクリエイティブ
MZ:これまでLINE広告を運用された中で、得られた気づきはありますか?
坂口:クリエイティブについては、ユーザーに響くポイントを大きく分けて3つ発見できています。1つ目は王道ですが、モデルやタレントさんなどをイメージモデルに起用してユーザーの目を引くもの。2つ目は、シズル感のある表現を用いて、MEDULLAのボトルクリエイティブを前面に押し出すもの。3つ目は、「週末限定」「1日〇〇名限定」など、限定感やお得感が感じられる情報を盛り込んだものです。
さらに細かい部分では、MEDULLAのキャッチコピーについても検証を重ねています。たとえば、「世界に1つのシンデレラシャンプー」「香水シャンプー」「モテシャンプー」といったMEDULLAならではのベネフィットを落とし込んだコピーは、特にクリック率が良いですね。このようにLINE広告で配信効果の良かったクリエイティブは、テレビCMや雑誌広告など他媒体でもアレンジして横展開しています。LINE広告はリーチできるユーザー数が多いため、ユーザーの反応が多いクリエイティブの傾向をつかむなど、検証の場としても活用できると感じています。
MZ:効果の良いクリエイティブについて、他媒体とは異なるLINE広告ならではの特徴はありますか?
坂口:TikTokやYouTubeなどエンタメとしての要素が強いメディアでは、シーンの切り取りでMEDULLAの価値を表現することが多いです。たとえば、「いい香りのするシャンプーで、どんなふうにモテるのか?」をイメージできるようなシーンで表現する形ですね。
一方、LINEはコミュニケーションアプリという特性上、日常のふとした時に“いかにユーザーの興味を引けるか”がカギになります。そのため、LINE広告では先ほどお話した「香水シャンプー」「モテシャンプー」のように、商品の特徴などを端的に表現したタイトル(テキスト)が重要になります。このタイトル次第で広告の効果も大きく変わってきますね。
MZ:タイトルも重要な要素になるんですね。静止画と動画では、どちらのクリエイティブフォーマットを使われることが多いですか?
坂口:出稿開始当初は静止画をメインで用いていましたが、徐々に動画の割合を増やしてきました。現在は、半々くらいの割合で運用しています。
精度の高さを実感するターゲティング機能
MZ:LINE広告の配信機能では、どのような機能を使われていますか?
坂口:広告代理店と連携して複数の配信機能を活用していますが、直近では電話番号をアップロード(※)した「類似配信」で高い成果が出ています。弊社で保有するお客様の電話番号をリスト化し、そのリストを定期的に更新しながら運用しています。
2年ほど運用を続けていく中で、LINE広告はターゲティングの精度が確実に上がっていると感じます。新しくリリースされた機能があれば積極的に活用していますが、実際の広告効果の数字からも実感しているところです。今後は、コンバージョンAPIの機能追加も期待しています。
MZ:LINE広告とMEDULLAのプロダクト自体の相性の良さもあるのでしょうか?
坂口:そうですね。実は、LINE広告との相性の良さは予想していなかった発見でした。MEDULLAのリリース当時は、おしゃれでかわいいボトルデザインを売りにしているヘアケアブランドは多くなく、またパーソナライズのサービスもほとんどありませんでした。そのため、ボトルのビジュアルやパーソナライズという切り口の広告自体が、LINEの中で目を引く状態だったのだと思います。その意味では、先行者優位が働いた結果と言えるかもしれませんね。
(※)類似配信で用いるオーディエンスとして、企業が保有する電話番号をアップロードして配信に利用することができる。
広告が当たった時の伸び率から実感する、LINE広告のリーチ力
MZ:様々なデジタル広告を取り入れているMEDULLAから見て、他媒体と比較した時のLINE広告の強みはどこにあるでしょうか?
坂口:大きく3つあると思います。1つは、LINEを利用するユーザーの年齢層が幅広いことです。MEDULLAのメインターゲット層は20~30代の女性ですが、LINE広告ではメインターゲット層はもちろん、他媒体では獲得できていない40代女性も獲得できています。これは、LINE広告特有の傾向です。
2つ目は、そもそもリーチできる母数が多いことです。新規獲得を狙う上で、国内の月間利用者数9,200万人(2022年3月末時点)に広告を届けられるのは、やはり魅力的です。実際に、広告のクリエイティブが当たった時の伸び率が非常に大きく、そのタイミングで出稿を大幅に寄せるといった運用も可能です。先ほど電話番号を基に類似配信を行っていると話しましたが、ターゲットリストがなかなか枯渇しないという点でもLINE広告の優位性を感じています。
3つ目は、LINE広告は審査基準が厳格であることです。審査がしっかりしている分、ブランド毀損の恐れがなく信頼できるプラットフォームであると言えますし、ユーザーにクリーンな広告を届けられるという意味でもありがたいですね。
購入を後押しする広告プラットフォームとして、LINE広告に期待
MZ:最後にMEDULLAにおけるデジタルマーケティングの展開について、目標や今後の展望をお聞かせいただけますか。
坂口:デジタル広告の運用においては、MEDULLAをより多くの方に使っていただくこと、愛していただくことを目標に取り組んでいきたいと思っています。テレビCMとの相乗効果も考えながら、最終的にお客様の購入を後押しする手段として、LINE広告をはじめ、デジタル広告は今後もどんどん展開していきます。
そして、当社は“パーソナライズ”にある可能性に注目しています。これまでは「企業やブランドが良いと言うもの」「みんなが良いと言っているもの」を選ぶという価値観が主流でしたが、これからは「みんなが自分に合うものを選ぶ」時代になっていく。そのような流れの中で、MEDULLAがパーソナライズの民主化をリードする代表のような存在になれればと思っています。
LINE広告について詳しく知りたい方は、LINE広告のサービスサイトをご覧ください。