成功の秘訣は、適切なピボットを続けていくこと
高橋:事業として最初に売り出したのは小型の手のひら発電「空野めぐみ」でしたよね。その後、ポータブルタイプのシート型ソーラー発電「solamaki」が登場して、さらに再生可能エネルギーの促進事業やソーラーパネルの施工など、柔軟にピボットされてきた印象です。舵取りがとても上手ですよね。

高橋 飛翔(たかはし・ひしょう)
1985年生まれ。東京大学法学部卒。大学在学中にナイルを創業。
ナイルにて、累計1,500以上の法人支援実績を持つデジタルマーケティング支援事業や自社メディア事業を発足。2018年より新規事業として月1万円台でマイカーが持てる「おトクにマイカー 定額カルモくん」をローンチ。自動車産業における新たな事業モデルの構築に取り組んでいる。
大石:そのとき市場が顕在化していなくても、ピボットを連続していくうちに核心を突いた社会課題に変わっていくので、挑戦することに意義があるというか、市場に合致するまでピボットし続ければいいと思っています。
ただ、携帯型ソーラー発電機「空野めぐみ」は1台10,000円以上するほどのものを3,980円で販売していたので、売れれば売れるほど赤字でした。しかも、初期不良があってほとんど返品。つまり、もうからなかったんです。
とはいえ、自分で電気を作ってスマートフォンの充電くらいはできるようになりたいというニーズがあることはわかりました。一部の方がコンセプトに熱狂する傾向も見えたので、その熱狂が何かを分析して、次のステージに移っていくという感じでピボットしてきましたね。
もうからない=思い入れではなく思い込み
高橋:失敗から学ぶことはすごく大切ですよね。もうからなかったという結果から、最初に大石社長が立てた仮説と何が違っていたかを見いだせたと思うんです。それは挑戦した方にしかわからない事実で、大石さん以外は知ることのできない事実なわけですよね。そのような中で反省を踏まえて新しいビジネスにトライしたことで、成功率も上がり、より適切なピボットを続けてこられたのだろうと感じます。
大石:私たちは「おもしろくてもうかることをする」という原則を掲げているのですが、もうからなかったということは、自分たちの考えが思い入れではなく思い込みだったんだな、と思ったわけです。会社と社会のどこかに乖離があるというのが商品・サービスを出してみて初めて肌感でわかってくるので、常に対話をしながら舵取りをしています。