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第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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ポストCookie時代の本格到来を乗り越える

企業は「Cookieレス」をどのようにとらえれば良いか──NTTドコモ・花王・RENOSYの対応は?

Google ChromeがサードパーティCookieの廃止方針を撤回。RENOSYの対応は?(GA technologies)

──昨今のCookieレス・個人情報保護の流れをどのように見ていらっしゃいますか。

 デジタルマーケティング業界にすでに大きな影響をもたらしています。

 Cookieに依存したターゲティングやトラッキングは、消費者プライバシーの懸念から廃止されつつある結果、マーケターはCookieに代わる新たな技術やアプローチを模索する必要があります。これには、ファーストパーティデータの収集や活用、コンテクスチュアルターゲティング、AIを活用したデータ予測などが含まれます。

 また規制の強化によって、データの透明性・倫理的使用が一層求められるようになりました。したがって企業としても消費者との信頼関係を重視する姿勢が不可欠となっています。

 今後は、Cookieに依存しない形で、生活者とコンタクトする方法と、データのプライバシーを守りつつ企業価値を創出するアプローチが求められると予想します。

 直近で関心が高いトピックスは、Google ChromeがサードパーティCookieの廃止方針を撤回したことです。このトピックスは、デジタルマーケティング業界全体でもインパクトのある内容でした。

──Cookieレス対策推進に関して、貴社の中で変化はありましたか。

 弊社ではCookieレス対策の検討は引き続き進めるべきだと考えています。なぜなら、すでにiOSなど様々な環境でサードパーティCookieが規制されている現状があるためです。プライバシー侵害を懸念するユーザーの動向によっては、任意でCookieをオフにするオプトアウトの機運が高まる可能性もある点からも、対策は急いだ方がいいと思っています。

 弊社が展開するRENOSY(リノシー)では資産価値が高く、検討期間の長い詳細である、不動産を扱っていることからも、生活者との信頼関係が構築できるデータの取り扱いと活用は外すことのできない事項です。

直接情報を収集・分析をして、効果的なマーケティングを

──こうしたことをふまえ、貴社が取り組んでいることを教えてください。

 弊社ではポストCookie時代に向け、以下の3点に重きを置き、対策を進めています。

 1つ目は、ファーストパーティデータによるオーディエンス設計を行っています。自社で直接収集したデータをもとにターゲティングを行い、精度の高いマーケティングを実現しています。

 2つ目は、コンバージョンAPIの導入により、Cookieに依存せず広告の効果を測定しています。これにより、従来のCookie計測では欠損していたコンバージョンデータを補完できます。同仕組みを活用して、広告効果の最大化を図っています。

 3つ目は、MMM(Marketing Mix Modeling)を活用し、複数のチャネルにまたがるマーケティング施策の効果を包括的に分析しています。これにより、Cookieに依存せず広告予算の最適化を可能にし、ROI向上を目指しています。

 弊社は、これらの取り組みを通じて、プライバシー保護を強化しつつ、効果的なマーケティング戦略を推進しています。

データクリーンルーム×SEM×MMMで施策の評価を適切に

──今後、取り組みたいことはありますか。

 データクリーンルームとSEM(Structural Equation Modeling)の導入です。

 データクリーンルームでは、異なるデータソースを安全かつ匿名化された環境で統合し、個人情報を守りながら高度なインサイトを引き出すことが可能になります。

 SEMは、共分散(2つのデータの関係を表す値)を利用して、互いに関連のある複数要素間の関係性やその程度をモデル化する分析手法です。これはMMMと併用することで、よりブランド施策の評価を適切に行えるようになると考えています。

 上記の取り組みにより、様々な技術を駆使して消費者との信頼関係を強化し、持続可能かつ倫理的なマーケティングの実現を目指しています。

株式会社GA technologies RENOSYアセットデザイン マーケティング部門 マネージャー 光安 悠太氏

株式会社GA technologies RENOSYアセットデザイン マーケティング部門
部長 光安 悠太氏

 入社以降、一貫してマーケティング業務に従事。ブランディングや広告集客、CRM・MA領域などを担当。現在、RENOSYの販売事業におけるマーケティング責任者として、中長期のマーケティング戦略立案から施策実行を担っている。

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この記事の著者

齋藤 ゆう(編集部)(サイトウ ユウ)

大学卒業後、広告代理店に入社しマーケターに。その後、事業会社に転職。金融・美容分野のマーケティング・企画・運営・セールスに携わる。2020年、翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/26 08:30 https://markezine.jp/article/detail/39079

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