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これからのインサイトが見えてくる!カルチャーを捉える「Connecting the Dots」法

ガチャガチャを回すとき人は何を買っているのか?――「感情効率」を求めるインサイト

 時代の価値観「カルチャー」の分析を通じて、消費者インサイトの変化を捉える本連載。第2回となる本稿では、ガチャガチャブームの考察からはじまり、様々な「感情」にまつわるインサイトの変化を探ります。

ガチャガチャブーム到来からひも解く時代の価値観

 こんにちは。TBWA HAKUHODOの田貝です。突然ですが「ガチャガチャ」が今、第4次と呼ばれるブームになっていることをご存知でしょうか。

 1980年代初頭に「キン肉マン消しゴム」が大ヒットした第1次、1990年代半ばに「ウルトラマン」などのフルカラー商品が登場した第2次、2010年代初頭に「コップのフチ子」が大人の女性にヒットした第3次に続いて、2022年に第4次のブームが来ていると言うのです。

 第4次ブームにはどんな特徴があるのか、カプセルグッズの企画制作を手がけるfunboxの田中智章さんにお話を伺いました。まずヒットする商品の傾向として、これまでのブームをけん引していたキャラクターものに加えてより「個人の趣味嗜好」に特化したニッチな商品が増えていると言います。

 これにより、お酒好きの人がミニチュア酒瓶のガチャガチャを回したり、カバンにつける小物を探す女性がブックマーカーのガチャガチャを回したりと、今までキャラクターに関心がなくガチャガチャを回したことがなくても、ガチャガチャデビューする人が増えているそうです。

 そしてもう一つ、第4次ガチャガチャブームの特徴として挙げられたのがSNSでの広がりです。ガチャガチャを回すときの「何が出るかな」というワクワクや出てきた景品に対する喜びやがっかり感。こうした感情は、以前はガチャガチャを回す瞬間にいる、まわりの友人や家族としか共有できませんでした。

 しかし最近では、自分が回して手に入れた景品をその感想と合わせてSNSにアップする人が出てきており、感情を共有する範囲が広がっています。さらに、SNSの投稿を見た人がガチャガチャに興味を持ってデビューするという流れもあるようです。

 ガチャガチャと、一見ガチャガチャとは異なるその他の流行に共通するインサイトから、これらの根底に流れる時代の価値観「カルチャー」を考えてみたいと思います。

今回も「Connecting the Dots(コネクティング・ザ・ドット)」の視点で分析していきます。
今回も「Connecting the Dots(コネクティング・ザ・ドット)」の視点で分析していきます。

 ドットをつないで時代のインサイトを探るカルチャー分析手法「Connecting the Dots(コネクティング・ザ・ドット)」について、詳しくは第1回で紹介していますのでまだご覧になっていない方はこちらもぜひチェックしてみてください。

ガチャガチャを回すとき、人は「感情」を買っている

 まずは、ガチャガチャを回す人のインサイトを考えていきます。第4次ガチャガチャブームの理由として言われているのは「外出機会の減少」と「消費欲求の解消」です。

 コロナ禍で不要不急の外出が制限される中、必需品を買いにショッピングセンターや商店街へ出かけた際にそうした必需品の買い物では満たされない欲求を解消する手段として、手軽に回すことができるガチャガチャが受け入れられていると言います。

 では、なぜ「ガチャガチャ」なのか。ガチャガチャだからこそ手に入れられるものとは何でしょうか。

 これは「もしもガチャガチャの中身がそのまま売られていたとする」と仮定した場合の心の動きと比較すると、見えてきます。「何が出るかわからない」ガチャガチャと、ミニチュアの商品が並べられたところから「好きなものを選ぶ」買い方。その違いはずばり何が出るかわからないことで生まれる買う直前の「ワクワク」した感情にあるのではないでしょうか。

ガチャガチャを回すとき人は「何が出るかわからないワクワク」という感情を買っている
ガチャガチャを回すとき人は「何が出るかわからないワクワク」という感情を買っている

 ガチャガチャを回すとき、人はそこにある小さな商品だけでなく回す直前の「ワクワク」した感情を買おうとしているというインサイトが見えてきました。わずか数百円でワクワクした感情を購入できる機械。それがガチャガチャであると考えられます。では、「感情を手に入れる」ことについてワクワク以外の感情ではどのような現象が起こっているでしょうか? ここからは、「笑い」と「恐怖」という感情について、そこで生まれている流行と傾向を見ていきます。

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この記事の著者

田貝 雅和(タガイ マサカズ)

株式会社 TBWA HAKUHODO\Disruption®︎ Consulting\Disruption® Strategist

ITプラットフォーマー、デジタル・エージェンシーを経て現職。スタートアップからグローバル・ブランドまで、様々な規模・業界のクライアントにビジョン実現の支援を実施。「良い戦略は良い問...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2022/06/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39139

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