6月6日、日経リサーチは東京都とその近郊の商業施設の利用実態を調査した「商圏センサス」首都圏版の最新データの提供を開始した。 今回の調査は2022年春に、1都3県の商業施設約700カ所(一部圏外施設も含む)を対象に実施したもの。
また、調査データの中から各施設の利用率に着目して作成した商業施設の集客力ランキングも発表した。こちらの調査では「西武池袋本店」が20年秋の調査以降、4期連続の首位となった。
トップ3は2位「伊勢丹 新宿店」、3位「渋谷ヒカリエ」で、21年春調査と順位に変動はなかったが、10位内では3施設が入れ替わった。上昇組のうち2施設は4位「京王百貨店 新宿店」と10位「ルミネ新宿」で、これにより、新宿エリアの商業施設は合計4カ所となった。同エリアでは11位以下の施設も上昇が目立っている。
利用者を分析すると、「京王百貨店 新宿店」は21年春より女性20代以下が大幅に増加し、利用目的では「化粧品の買い物」が増えている。また、京王百貨店は昨年の14位から大きく順位を上げたが、アプリを使ったタッチポイント拡大の取り組みを進めており、その効果が出ているようだ。
一方、「ルミネ新宿」は21年春と比べ、10km圏内の近距離からの来店が減少し、立川市・八王子市など10km圏外からの来店が増加した。利用目的では「婦人服衣服の買い物」が大きく伸びている。感染状況が落ち着いたことで社員を出社させる企業も多く、消費者の外出意欲も盛り返したことが化粧品や衣料品の購買を後押ししたようだ。
今後、6月の「ビックロ ユニクロ新宿東口店」の閉店、10月に決まった5位の「小田急百貨店 新宿店」の本館閉館を契機に、さらに大きな人流の変化があると思われる。
新宿に抜かれたものの、池袋エリアは1位の「西武池袋本店」以下、引き続き3施設が10位内を維持している。「渋谷ヒカリエ」が3位を死守した渋谷エリア、「そごう 横浜店」がランクインしてトップ10に復活した横浜エリアと、上位10施設のうち、8位の「御殿場プレミアムアウトレット」を除く9カ所は新宿、池袋、渋谷、横浜という、近郊鉄道を含む複数路線が乗り入れるターミナル駅の周辺施設が占めた。
21年春は巣ごもりによる家電やテレワーク用品などの需要から9位に「ヨドバシAkibaビル」が入ったほか、感染不安からか都心よりも居住エリアに近い施設を選ぶ傾向もみられ、10位に「ラゾーナ川崎プラザ」が入っていた。
22年春はこの両施設のほか、6位だった「銀座三越」もランク外となり、銀座・有楽町・日比谷エリアの施設が姿を消した。同エリアや近隣の日本橋では11位以下の施設も軒並み順位を落としている。ターミナル駅の周辺施設は客足が戻っている一方、電車を乗り継いで訪れる人が多い超都心エリアは回復が遅れているようだ。
【関連記事】
・イオンファンタジーとニューラルポケット、AIカメラで商業施設における子ども世代の属性を解析
・三菱商事・ユービーエス・リアルティとunerryが連携 位置情報の活用で商業施設のDXを推進
・コロナ収束後の来店頻度、外食は7割が「戻る」一方、銀行は8割が「今のまま」と回答【電通デジタル調査】
・アフターコロナのマーケティング課題、経営層の3割以上が「わからない」と回答【アドビ調査】
・コロナ禍で生活インフラ化したブランドが高評価/日経リサーチ「ブランド戦略サーベイ2021」