SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2023 Spring

MMMへの関心の高まりにはCookie規制の影響が。ビジネスに取り入れる時のポイントを語る

MMM実行を支える無料のツール「Robyn」

 では、MMMはどのように行われるのか。事業会社のMMM実行をサポートしている小川氏は、自身も業務で活用しているMMMツール「Robyn(ロビン)」を紹介した。

 RobynはMetaが開発し、オープンソース(無料)として公開しているもの。チャネルごとの予算配分最適化による効果の最大化や、効果を維持しながらコストを最小化するための分析を、誰もが安価かつスピーディーに行うことができる。Robynではリッジ回帰が使われているため「相関が強い説明変数(結果に影響を与えている要因)を複数入れると、推定結果の信頼度が下がる」という回帰分析の問題点を回避することが可能。残存効果や効果低減を探索する計算も行うことができる。

Robynは目的に応じて、複数の応用的活用例がある
Robynは目的に応じて、複数の応用的活用例がある

 MetaがRobynをオープンソースで提供する理由は、MMM分析者のコミュニティを構築し、多数の人からインプットをもらうことでより良いオープンソースコードを作るため、と明確。さらに、次の4つの観点を重視して提供しているそうだ。

1.プライバシーファーストへの対応:利用者のプライバシーを重視する今日の世界において、それを守りながら全体計測を可能にするにはMMMが重要な役割を果たす。

2.MMMの民主化:高価だったMMMツールをより多くの広告主が利用できるようにすることで、マーケティングはよりデータドリブンになっていく。

3.既存MMMとの補完関係:次世代MMMとして、既存のMMMアプローチの補完になるように設計。

4.ベストプラクティスのサポート:Metaのクライアント企業のマーケティングを成功に導くため、MMMで最大限の価値を引き出せるよう支援する。

RobynによるMMMは、何が進化しているのか?

  加えて中村氏は、旧来のMMMと「Robyn」との違いについても言及する。Robynは、伝統的なMMMとアトリビューションモデルの利点を合わせたものとなっており、その意味で「次世代のMMM」とされている。

 MMM歴20年の中村氏によれば、伝統的なMMMはオフライン・オンラインデータをエクセルで集計しマニュアル作業で分析を行う上に、データがそこまで細かくないため、単発的なアウトプットになってしまう。加えて、多くの時間とリソースが必要だった。

 もう1つのアトリビューションモデルは、戦術的なアウトプットは出せても、クロスチャネルやメディアでの戦略的な部分は出せず、データもオンラインに限定されているという欠点があった。

 「オフライン・オンラインのきめ細かいデータも入っており、機械学習を使って回しているため、比較的自動化できているのがプロダクトの特徴です。いずれにせよ、昔のMMMとは違うものになっているはず」と中村氏は話す。

次のページ
MMMをSaaS化してビジネスプロセスに組み込んだ海外事例

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
MarkeZine Day 2023 Spring連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/04/18 07:00 https://markezine.jp/article/detail/39161

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング