インフルエンサーには2つのタイプが存在する
またインフルエンサーと視聴者の関係には、大きく分けて以下の2軸のパターンがあるという。

「具体的な例を挙げると、アイドル型は佐藤ノアさん、ロールモデル型はChie Hidakaさんが挙げられます。佐藤ノアさんが新作のコスメを紹介した場合、コスメではなくノアさん自身の尊さについてのコメントが比較的多く寄せられます。ブランドイメージの形成や商材認知の施策により向いていると言えます。一方、ロールモデル型のChie Hidakaさんは、登録者数は10万人と多くはありませんが商品紹介の際、商材に対して言及したコメント率が高いです。購買を想定した設計をする場合や、商品の理解促進を狙う場合は、ロールモデル型のインフルエンサーを選んだほうがいいことがわかります」(大浦氏)

また、インフルエンサーを絞り込んでいく際は、日々の投稿だけでなく、投稿された動画がどういった“場”になっているのか、視聴者のコメントをよく観察し選定をしていくことで結果につながっていく。
その際によくあるのが、インフルエンサー本人から実施許可が取れないことだ。よくある理由として挙げられるのが以下の6点だ。

「その6つの問題をすべて解決できる大切な要素が“愛のある文脈作り”です。視聴者とインフルエンサーの能動的な愛でできたコミュニティに企業も参加する。その上でいかに広告掲載背景に納得感を出すかというところにフォーカスをしていただきたいです。
聞いてもらえるタイアップ、いい意味で、色眼鏡をかけた上でまっすぐ話すことのできている企画が効果の出るタイアップのポイントです」(大浦氏)
インフルエンサーを評価する「SPEC+T」
では、企業はどのようにインフルエンサーを評価し、キャスティングしていけばいいのだろうか。大浦氏は企業がインフルエンサーを選定する際の評価軸である「SPEC+T(スペックプラスティー)」を紹介した。
Scale:消費者からの認知レベル(フォロワー数など)
Professional:発信コンテンツの専門レベル(プロフェッショナルor一般など)Engagement:愛と信頼によるファンの熱狂レベル(購買、動員実績など)
Creativity:企画力と制作力の2軸レベル(画質・見せ方など)
+Trend:現行の注目レベル
大浦氏は最後に、「施策の目的を言語化し、それを押さえて若者に受け入れられる文脈を作っていく必要がある」と改めて指摘し、セッションを締めくくった。
「SPEC+Tで挙げた数値は、全てが高ければいいというものではありません。商材や施策によっては重要視しない評価軸を見定めてふるいにかけることが勝ち筋を見つける第一歩です。そのためにも施策の目的の洗い出しと、インフルエンサーを理解することが重要です。視聴者との出会い方を正しく設計できれば、難しい内容もうまく翻訳することができ、若年層に受け入れられやすくなります」(大浦氏)