CTV広告の適切な予算配分とは?
次に「CTV広告の適正予算」の考え方についてご紹介します。出稿の目的によって変化するため、唯一無二の適正予算というものは存在しないと考えていますが、予算の算出方法はいくつかパターンがあります。
1つ目は、テレビCMのリーチ補完を目的として広告出稿をする場合、不足しているリーチから逆算して予算を算出する方法です。現時点でのテレビCMによるターゲットリーチをもとに、補うべきリーチ量とそれを実現する必要予算を算出します。
上記は、テレビCMに追加でCTV広告の予算を設計する考え方ですが、テレビCMの総予算をアロケーションする場合もあります。
たとえば、現在のテレビCMによるWebでの指名検索数を維持する場合、どの程度の予算圧縮が可能かを見積もり、圧縮した予算をCTV広告へ投資するという方法です。
このようなニーズは増加しており、弊社では、ノバセル社と協業し「指名検索」を評価軸としたテレビCMの効果分析と最適予算シミュレーションを行い、CTV広告を含むデジタル広告の統合プランニングを行うサービスを提供しています。
他には、広告の効果検証に耐えうる最低出稿金額で予算を決めるという方法もあります。計測によって「効果が見えるライン≒広告がエンドユーザーに届いたライン」と捉えると、このような予算設計も有効だと思います。
まずはテレビCMの加工からトライ
現状、CTV広告で配信されている広告のクリエイティブは、「テレビCMでのクリエイティブをそのまま使用」していることが多いです。ユーザーの視聴態度は「自宅でテレビを見る」という従来の視聴態度とほとんど変わらないので、テレビCMのクリエイティブと相性が良いというのは違和感がないと思います。
ただ、第1回でも触れたように、CTV広告はテレビCMと異なり、ターゲティングができるという特性があります。その特性を活かし、クリエイティブも工夫して効果を高めたいところです。たとえば、テレビCMのクリエイティブをベースにしつつ、ターゲットに合わせた訴求を静止画で挿入したり、スマホでサイトに訪問してもらうことを狙ってQRコードを埋め込んだりする、という方法も考えられます。

アメリカ最大級のスポーツイベントである「Super Bowl 2022」のテレビ放送にて、Coinbaseが「QRコードが30秒間浮遊し続けるだけのCM」を放映した結果、サイトへのアクセスが集中してサーバーがダウンするという事象がありました。
テレビ画面にQRコードが映し出されるというのはまだまだ新鮮な体験だと思うので、斬新かつその場での行動を促すアプローチとしておもしろいのではないかと思います。