SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

イベントレポート

シルクロード×明石ガクト×ケトル・嶋浩一郎が振り返る、YouTubeアワード2022の受賞作

二次創作を大量に生んだ、カロリーメイトWeb movie「夏がはじまる。」

Creative Effectiveness部門

YouTubeの特性を活かしたクリエイティブアイデアで、多様化する生活者インサイトを的確にとらえ、ビジネス成果へと繋げることに成功したキャンペーン

広告主:大塚製薬

広告会社:博報堂

制作会社:AOI Pro.

ブランド:カロリーメイト

広告フォーマット:TrueView インストリーム広告

キャンペーンの目的:高校生活を感染状況・大人の判断・情報に振り回された部活生の思いや葛藤の姿をありのまま強く描くことが背中を押すことになると信じ、「2021年の夏の部活のオープニングムービー」というコンセプトで企画。

【ポイント解説】多くの二次創作を生んだ、YouTubeらしくも美しい作品

嶋:これは53のおじさんが見てもキュンキュンしちゃいますね(笑)。

明石:話を聞いて納得したんですが、高校生たちが自分たちの部活のビデオ動画を作る時に、元々ボカロPの曲を使っていたんですよね。部活生はボカロPの曲を使っている、カロリーメイトは部活生を応援したい、そして絵を作っているのは文化部という文脈がある。そんなふうに、いろんな人の青春がより合わさって、50過ぎのおっさんでも泣いちゃう動画になっている。YouTubeらしさを追求して、普遍的な感動につながるというのがすごく美しくて、今回の中で一番好きな作品です。

シルクロード:昔ボカロを作っていた世代の人たちが今メジャーデビューしている、という流れがある中で、ボカロPさんを選んで曲を作ったというのもすごく大きいですよね。二次創作されやすいだろうな、と思います。

嶋:そう。この作品はすごく二次創作されているんですが、これについてはどうですか?

明石:世の中には、作られたブームと作られていない本当のブームがあると思っていて。作られたブームの時は、二次創作がないんです。要は、表面上の数値が高かったり、「泣ける」「感動した」とかのコメントがあったりするかもしれないけど、本当にすごいコンテンツの時は、ファンアートを描いたり、小説を書いたり、いろんなメディアで自分の思うそのコンテンツの物語をみんなが再生産し始めるんですよ。カロリーメイトのこの動画は、いまだにいろんな人がYouTubeや他のSNSに投稿をしていて、ひとつ壁が抜けているなと思います。

シルクロード:YouTubeでは「二次創作にいかに取り上げられるか」を考えながら、動画のネタを考えたりすることがあります。そこの広がりによって、再生回数をはじめ効果がぜんぜん違ってきますね。

「防災への意識」の入り口を広げた、赤十字のキャンペーン「不安が見えなくなるメガネ」

Force for Good部門

収益やビジネスインパクトを超えて、YouTubeにおいて自社のブランドパーパスを表現し社会的意義のあるコミュニケーションを展開したキャンペーン

広告主:日本赤十字社

広告会社:電通、電通デジタル

制作会社:xpd

広告フォーマット:TrueView インストリーム広告

キャンペーンの目的:防災の日がある9月に、日本国民の防災への意識を高め、自然災害への備えを促す。災害時の逃げ遅れを少しでも減らし、一人でも多くの命を救う。

【ポイント解説】そもそも興味のない広告を「自分ごと化」させるには?

嶋:これは動画としてはシンプルで、ひとつのストーリーを語っているものですが、みなさんどうでしたか?

シルクロード:僕はこれけっこう好きで。最初、仕事で不安になっている人のメンタルの話かなと思うんですけど、そこから災害の話になっていくんですよね。いきなり災害の話をしてもみんな興味を持たないと思うので、自分に置き換えられる話から入って、気づいたらいつの間にか災害の話になっている。その持っていき方がすごくうまいなと思いました。

明石:結局、半径5mくらいにあるものしかみんな見ないんですよ。テレビだったら、なんとなく点けていて、ふと気になったものを見ることがあるかもしれないけど、YouTubeは自分に関係ないと思ったらすぐにスキップしちゃう。そこに行かせない(スキップされない)ようにするためには、自分事化できることで最初にフックを作るほうがいいわけです。そこのストーリー作りが秀逸ですよね。

嶋:広告を作る立場として、「そもそも興味ないよ」というところから、自分事化してもらえるところまで持っていくための技とかありますか?

明石:うちの会社には「発明より発見」という言葉があって、「見てもらおう!」と思って発明すると、だいたい滑るんですよね。

嶋:なるほど、たしかに。ゼロイチはなかなか当たらないということですね。

明石:今、YouTubeには1日に86年分くらいの動画が世界中でアップされていると言われていて、それだけあれば「なんか見ちゃう」ような動画がどこかしらに必ずあるはずなんです。それを発見して、自分たちの動画に応用できるものはないか? という視点でエッセンスを抜き出すほうがいいと思っています。

次のページ
視聴体験を害さず広告パフォーマンスをあげた、ホットペッパービューティーの作品

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
イベントレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/07/22 08:30 https://markezine.jp/article/detail/39438

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング