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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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マーケターが知っておきたいBtoB企業広報の基礎知識

BtoB企業こそ広報とマーケの連携が重要。成果を出しているスタートアップの事例を紹介

活動目的が違うマーケと広報が連携し、成果を生み出すカミナシ

 もう1社、企業事例を紹介します。カミナシは2016年創業で、製造業やサービス業の現場で発生する手書きの帳票などのデジタル化を支援する企業です。

 現プロダクトの正式ローンチ後からしばらくは、現COOの河内氏がマーケティングや人事を担当していました。しかし2020年以降、相次いでマーケティング担当、広報担当を採用しました。

 カミナシでは、マーケティングはセールスマーケティングチーム、広報はCEO室に所属しており、チームによってミッションが異なります。マーケティングは「リード獲得」ですが、広報の主な目的は「採用(仲間集め)」です。

 なぜなら、広報担当の宮地氏が入社する頃には、顧客開拓はすでにデジタルマーケティングで担保できていました。そこで代表の諸岡氏と話し合って、広報活動の目的をスタートアップにとって重要な「仲間集め」としたのです。

2021年の3月にカミナシが行って話題となった資金調達に関する発表も目的は「採用」
2021年の3月にカミナシが行って話題となった資金調達に関する発表も目的は「採用」

 このように目的がバラバラのチームですが、カミナシでは双方のチームが連携することでそれぞれの活動の成果を相乗的に高めることができています。

マーケと広報が連携し、広告やメディア露出の成果を双方で“使い倒す”

 では、カミナシで広報とマーケティング部門はどのように連携しているのでしょうか? 具体的に見ていきましょう。

メディアでの寄稿を使った潜在顧客向けホワイトペーパー作成

 マーケティングチームとの連携の仕方としては、広報が主導して専門メディアに寄稿した後、マーケティングチームが引き継いで著作権の問題をクリアした後にその記事をホワイトペーパー化し、リード獲得のためにWebサイトでダウンロードできるようにしています。

 広報の宮地氏によれば「自社のブログ記事よりもメディアに掲載された記事をホワイトペーパーとして使うほうが顧客の信頼を得やすく、連携の効果が高くなっている」と語っていました。

展示会で発表する顧客事例を広報が作成。メディアにも売り込む

 マーケティングチームが主導するリード獲得を目的とした展示会の出展では、そこで発表する顧客事例をカスタマーサクセスの協力のもと広報が作成し、それを事例インタビューとしてメディアに売り込んでいるとのことです。

自社イベントをマーケティングと広報が一緒に企画

 また、広報の宮地氏が効果的な連携ができた例として挙げるのが、2021年11月に行った自社イベントの「New+」です。これは既存顧客向けに、カミナシの1年間の進化を伝える営業イベントでした。

 既存顧客向けのイベントのため、当初はマーケティングチームが内容を企画しました。しかし、広報担当はその中身が「営業トーク」に偏り過ぎていたため、「現場DXの現状を伝える」ことをテーマに加えるよう提案。結果、イベントは無事盛況のうちに終了することができました。

 これは、営業視点だけではなく、「相手(メディアなど)が聞きたいこと」を考慮してコミュニケーション設計する広報の視点が活かされた形です。

 このようにカミナシでは、マーケティングと広報が、それぞれの視点やスキルを持ちよって企画の精度を上げる、それぞれの成果を二次利用するなどして効果の最大化を実現しています。

次のページ
カミナシの広報活動が早期から上手くいった理由とは?

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この記事の著者

松田 純子(マツダ ジュンコ)

リープフロッグ合同会社 CEO
 国内外のスタートアップ、中小企業など向けに広報部門立ち上げ支援コンサルティングを行う。伴走型、人材育成型で新人、独り広報の会社でも効率よく広報部門を立ち上げ、企業成長に資する広報活動が行えるよう支援。早稲田大学卒業後、大手求人広告でのコピーライターを経て、IT系メガベンチャー、博報堂系デジタル広告会社で広報業務に従事。経営戦略室マネジャーを経て2019年に起業。現在は、B2B領域を専門にスタートアップから東証一部上場企業まで幅広くクライアントを支援しながら...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/29 07:30 https://markezine.jp/article/detail/39519

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