企業の成功事例から学ぶ、マーケと広報が連携した施策のはじめ方
これまでの連載でお話しした通り、「広報活動がはじめられる5つの条件」が整い(第1回記事)、経営上の課題や目標から逆算して「広報活動の目的」(ブランディング、マーケティング、採用など)が設定でき(第1回記事)、「組織体制」が整えば(第2回記事)、いよいよ具体的な施策をスタートさせることになります。
今回は、具体的な施策を知る機会として、マーケティング部門と広報部門が一体となって成果を出している2社のBtoB企業の事例を挙げます。知名度が高いとは言えなかった創業間もないスタートアップのBABY JOBとカミナシが、各社の広報・マーケティング活動の目的を達成し、成果を上げるまでにどのような施策を行ったのか紹介します。
1日1本以上の取材が来るBABY JOBが、認知獲得のためにしたこと
BABY JOBは2018年創業で、おむつとおしりふきが使い放題になるサブスクリプションサービス「手ぶら登園」を保育施設や保護者向けに提供している会社です。代表の上野氏が2012年に働くママの支援を行う企業SSM(Super Strong Mother)を立ち上げ、保育園事業を開始しました。その中で、保育園に来るママのタスクを軽くする方法として「手ぶら登園」サービスを思い付き、BABY JOBを創業したのです。
その後、各園に「手ぶら登園」を紹介していく中で、同社は保護者が使用済み紙おむつを保育園から持ち帰らなくてはならないという社会課題に気づきました。特定の自治体では、保育園の子どもが使うおむつ1枚1枚に名前を書いて持っていった後、保護者が使用済みのおむつを持ち帰って家で処分する必要があります。
東京23区では持ち帰りが必要な公立保育園はゼロですが、滋賀県では約90%の市区町村(BABY JOB調査より)で持ち帰りが発生しています。
上野氏によれば、「こうした課題は保育園に子どもを預けている当事者以外の人は知らず、また当事者たちも自治体によって違いがあることを知りません」とのこと。そのためBABY JOBでは、まず“こうした社会課題がある”ことの認知拡大を自社の広報活動の目的に定めました。