活動目的が違うマーケと広報が連携し、成果を生み出すカミナシ
もう1社、企業事例を紹介します。カミナシは2016年創業で、製造業やサービス業の現場で発生する手書きの帳票などのデジタル化を支援する企業です。
現プロダクトの正式ローンチ後からしばらくは、現COOの河内氏がマーケティングや人事を担当していました。しかし2020年以降、相次いでマーケティング担当、広報担当を採用しました。
カミナシでは、マーケティングはセールスマーケティングチーム、広報はCEO室に所属しており、チームによってミッションが異なります。マーケティングは「リード獲得」ですが、広報の主な目的は「採用(仲間集め)」です。
なぜなら、広報担当の宮地氏が入社する頃には、顧客開拓はすでにデジタルマーケティングで担保できていました。そこで代表の諸岡氏と話し合って、広報活動の目的をスタートアップにとって重要な「仲間集め」としたのです。

このように目的がバラバラのチームですが、カミナシでは双方のチームが連携することでそれぞれの活動の成果を相乗的に高めることができています。
マーケと広報が連携し、広告やメディア露出の成果を双方で“使い倒す”
では、カミナシで広報とマーケティング部門はどのように連携しているのでしょうか? 具体的に見ていきましょう。
メディアでの寄稿を使った潜在顧客向けホワイトペーパー作成
マーケティングチームとの連携の仕方としては、広報が主導して専門メディアに寄稿した後、マーケティングチームが引き継いで著作権の問題をクリアした後にその記事をホワイトペーパー化し、リード獲得のためにWebサイトでダウンロードできるようにしています。
広報の宮地氏によれば「自社のブログ記事よりもメディアに掲載された記事をホワイトペーパーとして使うほうが顧客の信頼を得やすく、連携の効果が高くなっている」と語っていました。
展示会で発表する顧客事例を広報が作成。メディアにも売り込む
マーケティングチームが主導するリード獲得を目的とした展示会の出展では、そこで発表する顧客事例をカスタマーサクセスの協力のもと広報が作成し、それを事例インタビューとしてメディアに売り込んでいるとのことです。
自社イベントをマーケティングと広報が一緒に企画
また、広報の宮地氏が効果的な連携ができた例として挙げるのが、2021年11月に行った自社イベントの「New+」です。これは既存顧客向けに、カミナシの1年間の進化を伝える営業イベントでした。
既存顧客向けのイベントのため、当初はマーケティングチームが内容を企画しました。しかし、広報担当はその中身が「営業トーク」に偏り過ぎていたため、「現場DXの現状を伝える」ことをテーマに加えるよう提案。結果、イベントは無事盛況のうちに終了することができました。
これは、営業視点だけではなく、「相手(メディアなど)が聞きたいこと」を考慮してコミュニケーション設計する広報の視点が活かされた形です。
このようにカミナシでは、マーケティングと広報が、それぞれの視点やスキルを持ちよって企画の精度を上げる、それぞれの成果を二次利用するなどして効果の最大化を実現しています。