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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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事例で学ぶ、Z世代・ミレニアル世代へのアプローチ

ユーザー目線を持ち、あるときは「中立」で。ドンキに聞いた、若年層に響くSNSの使い分け

解説には「音」づくりが必要。コメント返信は接客だと捉える

久保:続いて、TikTokについて成果が大きかった投稿を教えてください。

増田:新発売される商品の発売前に紹介動画をいくつか投稿させてもらいましたが、その商品が販売開始したときにはとても高い販促効果がありました。

@donki_cp #fino #ドンキ #ドンキホーテ #ドンキ購入品 #ヘアオイル #ヘアトリートメント ♬ オリジナル楽曲 - ドンキの知ってTok! - ドン・キホーテ【公式】

増田:取り上げたのはファイントゥデイ資生堂様の「fino(フィーノ)」というブランドから新たに発売されたヘアオイルです。ターゲット層となる若い世代が多いTikTokと相性がとても良く、商品自体が既にTikTokでバズっていました。そこでドンキのアカウントで新商品紹介をしたところ、売上向上に至りました。当時の市場占有率はドンキ(のアカウント経由での売上)が40%を占めていたとうかがっています。ファイントゥデイ資生堂様からも、予想外の売上との声をいただきました。

久保:この商品はそもそも若年層向けとのことでしたが、投稿で意識したことやコツなどはありますか?

増田:動画の制作はコスメの紹介が上手いInstagramの担当者に撮影と編集を頼みました。また、紹介するときの音源や声色にはとても気をつけています。

 ショート動画ではあるのですが、ユーザーはその商品が気になっているからこそ、どんな使い方をするのか、どんな効果が得られるのかという商品知識を求めています。そのとき、離脱せず最後まで見られるように、聞き取りやすい音源や声色にしていたのは伸びた理由の一つかなと。

久保:商材に加え、プラットフォームに馴染む編集をすることがポイントですね。購買につながりやすい導線づくりが目的だと思いますが、何か意識されていますか?

増田:商品紹介は購買につながることがゴールではあるのですが、真面目な販促はユーザーから見てもおもしろくないので、基本的には商品の認知を最優先に考えています。どうすればこの商品を覚えてもらえるかを意識して作っていますね。成果は、後追いで売上がどう反映されているかでチェックしています。

久保:コメントの返信もされているようですが、頻度はどのくらいのペースでしょうか?

増田:自分が公式で投稿した動画に関しては、なるべくすべて返信するようにしています。コメント欄でのやりとりはある種の接客だと思っているんです。古い動画へのコメントはさすがに追い切れない部分もあるのですが、新しい動画については優先的に確認して返信しています。

SNSで商品に対して反応してくれた方への返信も、レジでお会計が終わった方に「ありがとうございました」とお礼を伝えるのと同じだと考えていますね。

久保:とても素敵な考え方ですね。店舗を持っていない企業様やメーカー様の場合、コメントの返信にリスクを感じ、実施しない判断をする企業様も多い印象です。御社の方法は店舗での接客が根付いているからこそできる運用だと感じました。

ストーリーのある商品作りを一緒にできる場所へ

久保:最後に、今後の展望を教えてください。

増田:前述の通り、SNSでも接客を行っているというスタンスのもと、お客様や他の企業様と一緒にドンキを作り上げていくというのが大まかなコンセプトです。それには当然若年層の方も含まれているので、若年層に対する商品、トレンドに見合う商品を一緒に作り上げていけたらと思います。

 一つの例として、カルビー様と一緒にTwitter上で会話をしながら新商品の味を決めていくという取り組みがありました。実際に商品化され、売上も良い結果になった成功事例です。

 今後も、場所はTwitterに限らず、他企業様と一緒に商品ができあがる過程をお見せしたり、ユーザーからアンケートを採ったりして、ストーリーを持つ商品を作りたいですね。

 ちなみに当社PB「情熱価格」については、Webサイトの方に「ダメ出しの殿堂」というページを用意し、既に発売している商品へのご意見やダメ出しを投稿できるようにしています。単なるプライベートブランドではなく、ピープルブランドとして「情熱価格」の商品開発もお客様と一緒に進めております。

 SNSの最大の特徴は双方向のコミュニケーションであり、気軽に会話ができるということです。これまでどちらかと言えば開発した商品を一方的に提示していましたが、商品を作る過程から一緒に歩んでいけたらと思います。

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/15 09:00 https://markezine.jp/article/detail/39583

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